コミュニティに特化した研究機関であるCommune Community Labは、2025年のコミュニティに関する5つの大きなトレンドをまとめた「コミュニティトレンド2025 by Commune Community Lab」を発表しました。
コミュニティ活用の重要性が高まる背景
2025年、企業によるコミュニティの活用は大きく進展しています。「コミュニティマーケティング白書2025-2026(速報版)」(※1)によると、「コミュニティマーケティング」という言葉を知っている人は約7割に達し、その必要性を感じている人は半数以上(54%)に上ることが報告されました。特に、毎月料金を支払うサブスクリプション型のビジネスでは、コミュニティを活用して既存の顧客と一緒に新しい価値を作り出す取り組みが広がっています。
市場が成熟し、広告や昔ながらの方法だけでは他との違いを出すのが難しくなっている現在、「顧客と共に価値を創造する」コミュニティは、企業にとって非常に大切な財産となっています。Commune Community Labでは、企業活動におけるコミュニティの活用を専門的に研究・発信しており、その成果として2025年の5大トレンドを発表しました。
2025年コミュニティの5大トレンド
1. 「信頼」というコミュニティ選びの新基準
インターネット上には、たくさんの情報があふれ、中には偽の情報やAIが作ったコンテンツも増えています。このような状況で、ユーザーは何を信じたら良いのか迷いがちです。「アクセンチュア ライフ トレンド2025」(※2)によると、62%の人々がブランドを選ぶ際に「信頼」が重要な要素だと答えています。ユーザーが参加するコミュニティを選ぶ際にも、「信頼できる場所かどうか」が新しい基準になっていくでしょう。
2. SNSとコミュニティの「共生」構造へのシフト
情報が多すぎる時代に、企業はファンとの関係を効率良く築き、保つためにコミュニティの仕組みを見直しています。具体的には、誰でも見られるSNSと、限られた人だけが参加できる自社のクローズドなコミュニティを使い分ける動きが見られます。例えば、世界的に見るとYouTubeは2025年に入ってコミュニティ機能を強化し、新しい交流の場を設けました。「まずSNSで企業や商品を知ってもらい、より熱心なファンは自社コミュニティへ」という流れは、今後ますます一般的になるでしょう。
3. 「AI」時代の効率化と人間らしさのバランス
コミュニティの運営にもAI(人工知能)の波が押し寄せており、2025年はAIの活用が急速に広まった年と言えます。例えば、AIはコンテンツの要約や、おすすめ情報の提示など、コミュニティマネージャー(コミュニティを管理する人)の日常業務を効率化するのに役立ちます。一方で、海外では「テクノロジーが高度になる時代だからこそ、人間中心のコミュニティ作りへ回帰する動きが強まっている」という指摘もあります。効率を追求しつつも、人との温かい交流を大切にするバランスを取ることが、これからのコミュニティ運営のテーマとなるでしょう。
4. 興味や属性による「マイクロコミュニティ」
コミュニティが広がる一方で、より少人数で親密な「マイクロコミュニティ」にも注目が集まっています。小さなコミュニティを複数育てることで、メンバーは自分の興味やニーズに合った、より深い情報交換ができます。親密で特定のテーマに絞った対話が可能になるため、参加者の熱意や愛着がさらに高まります。この流れに関連して、有料や限定公開のコミュニティも注目されています。今後は「コミュニティ全体の活発さ」だけでなく、一人ひとりのメンバーとの細やかな関係を築いていくことが重要になるでしょう。
5. コミュニティの「経営戦略化」
コミュニティに関する取り組みは、一見するとすぐに売上につながる効果が見えにくいこともあります。しかし、2025年現在、多くの企業が顧客との長い付き合いの中で得られる価値(LTV: Life Time Value)の向上や、顧客がサービスを辞めてしまう割合(解約率)の低下など、具体的な成果を認めています。このようなコミュニティの価値が広く知られるようになるにつれて、企業内でのコミュニティの位置づけも変わり、会社全体で価値を生み出すための重要な戦略的な資産として扱われ始めています。コミュニティへの投資がどれだけの効果をもたらすか(ROI: Return On Investment)は「見えにくい」と避けられがちでしたが、今では測定可能な成果と、経営への良い影響が示され始めた段階と言えます。
Commune Community Lab 所長 黒田氏のコメント
Commune Community Lab 所長の黒田悠介氏は、「2025年におけるコミュニティの主要トレンドを国内外の視点から見てきました。キーワードは『信頼』『SNS共生』『AI活用』『マイクロコミュニティ』『経営戦略化』とさまざまです。コミュニティを取り巻く環境は大きく進化している様子が伺えます」と述べています。
黒田氏はさらに、「2025年現在、コミュニティ運営が企業にとって『当たり前』の戦略になりつつあるのは間違いありません。市場や技術がどれだけ変化しようとも、人は信頼できるつながりを求める存在です。その本質に立ち返りながら、新しいツールやアイデアも積極的に取り入れていきましょう。この記事を読んだみなさんは、自社コミュニティの可能性をぜひ再点検し、2025年のトレンドを追い風にしていただけたらと思います」とコメントしています。

Commune Community Labについて
Commune Community Labは、コミュニティに関する知識を生み出し、蓄積し、発信することを目的に作られた研究機関です。Communeの顧客だけでなく、あらゆるコミュニティを研究対象とし、これまで属人的で再現性が低いと考えられてきた「コミュニティ」という分野を科学的に分析しています。研究成果は、さまざまなメディアや書籍、ワークショップなどで発表されています。略称は「コミュラボ」、ハッシュタグは「#コミュラボ」です。
コミューン株式会社について
コミューン株式会社は、「あらゆる組織とひとが融け合う未来をつくる」というビジョンを掲げ、信頼を大切にして顧客や従業員の力を企業活動のあらゆる場面で生かす「信頼起点経営」をサポートするCommune事業を展開しています。
関連情報
-
※1:「コミュニティマーケティング」の認知は7割、過半数がその必要性を感じている -「コミュニティマーケティング白書2025-2026」(速報版)-
https://communitymarketing.jp/news/20251119 -
※2:アクセンチュア ライフ トレンド2025を発表 ―「信頼」が生活者と企業の関係を再構築すると予測
https://newsroom.accenture.jp/jp/news/2025/release-20250227 -
詳細:コミュニティトレンド2025|キーワードは「信頼」「SNS共生」「AI活用」「マイクロコミュニティ」「経営戦略化」
https://note.com/chlorine0528/n/n9bc2dd043670 -
コミューン株式会社
https://communeinc.com/ja -
関連リンク
https://commune.co.jp/

