UBTECH Robotics Ltd.は、次世代産業用ヒューマノイドロボット「Walker S2」を正式に発表しました。このロボットは、製造業、物流、点検といった様々な現場で、人間と同じくらいの運動能力や、見て判断する能力を持つように作られています。日本の代理店である株式会社GA Roboticsは、来年の春ごろに日本での発売を予定しています。

Walker S2の主な特徴
人間に近い身体能力
Walker S2は、身長176cm、重さ73kgと人間に近いサイズです。全身には52の「自由度」(関節の動きの自由さを示す数)があり、最大で秒速2mで歩いたり、2cmまでの段差や階段に対応したりできます。航空機にも使われるような丈夫で軽い素材(航空機グレードアルミと複合弾性樹脂)で作られています。また、手は「第4世代Dexterous Hand」と呼ばれ、片手で11の自由度を持ち、6つの「力覚センサ」(力の感覚を測るセンサー)を搭載しているため、物をつかむ際の力加減も調整できます。
賢い頭脳と自律的な動き
このロボットは、UBTECH独自の「ROSA 2.6 制御OS」という、ロボットを動かすための基本的なソフトウェアを搭載しています。さらに、「Prov AI」というAIの賢い頭脳が、ロボットの意図を理解し、作業計画を立て、異常を見つけることができます。まるで人の目のように立体的に物を見る「双眼ステレオカメラ」を使って、部品の形や位置をリアルタイムで認識します。バッテリーは自動で交換される仕組みで、クラウド(インターネット上のシステム)からの指示で、その時に必要な作業に合わせて充電や放電が行われます。
実際の工場での活用例
Walker S2は、すでに様々な産業での活躍が期待されています。
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無人物料搬送: 「AGV(無人搬送車)」と協力して、最終的な製品の運搬を自動で行います。
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自動車検査・塗装支援: 自動車の色や構造の検査を自動で行ったり、塗装作業をサポートしたりします。
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設備点検: エアコンのガス漏れのような異常を、安全な距離から遠隔で検知します。
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在庫・数量検査: 「RGBDカメラ」(色と奥行きを同時に測れるカメラ)を使って、在庫の数を自動で数えたり、種類を識別したりします。
開発者向けツール(SDK)
Walker S2は、「ROS2 ベースのSDK」という、開発者がロボットのプログラムを作るための道具一式を提供します。モーターの制御、ロボットの姿勢や動きを測る「IMU」、バッテリー、カメラのデータ取得から、音声認識、動作制御、自律的な移動に関するAPI(プログラムの命令集)まで、段階的に公開される予定です。ロボットの形や構造を表す「URDF」ファイルや、開発者がプログラムを共有する「GitHub リポジトリ」も提供されるため、研究開発を行う企業やシステムインテグレーター(SI企業)が、自分たちの用途に合わせて簡単にカスタマイズできるようになっています。
安全への配慮と将来性
複数のセンサーを使った「冗長安全設計」により、人がいる場所でも安全に共存できるよう設計されています。将来的には、バッテリーや先端部分(エンドエフェクタ)を自動で交換するステーションや、工場の様々な管理システム(ERP・MES)との連携も計画されています。
発売時期と日本での展開
Walker S2は、現在、中国国内の製造現場で実際に使われ始めています。CEやFCCといった国際的な安全認証を取得した後、2026年前半には世界中で展開される予定です。日本での発売は、株式会社GA Roboticsを通じて来年春ごろに予定されています。
GA Roboticsは、この先進的なロボット技術を活用し、お客様のデジタル変革(DX)を力強くサポートしていくとしています。人手不足の深刻化や生産性向上の課題に対し、ロボットの導入を通じて現場の革新を進め、持続可能なビジネスの成長に貢献していくとのことです。
Walker S2に関する詳細情報は、以下の製品ページで確認できます。
Walker S2製品ページ

