横浜銀行は、コンタクトセンター向けCXソリューションを提供するモビルス株式会社の「AIエージェント型ボイスボット」を導入し、ローンに関する5つの証明書発行申請の電話受付を自動化しました。生成AIを活用したこのAIエージェント型ボイスボットの導入は、地方銀行では初めての取り組みとなります。

この新しいシステムにより、繁忙期には月1,600件にもなる証明書発行申請の電話対応を自動化し、お客様の電話応対時間を5割削減することを目指します。これにより、「電話がつながらない」というお客様の不満を解消し、銀行の業務効率も高めることが期待されています。
導入の背景:電話がつながりにくい課題
横浜銀行では、住宅ローン年末残高証明書や融資取引明細表など、さまざまな証明書の発行や再発行を行っています。特に、年末調整や確定申告の時期には住宅ローン年末残高証明書の再発行の問い合わせが集中し、1ヶ月に約1,600件、1日最大で約150件もの電話が寄せられることがありました。
このような状況で、電話がなかなかつながらない「あふれ呼」と呼ばれる状態が発生し、お客様の不便さや満足度の低下、そして電話対応にあたるオペレーターの方々の負担が増えるという課題を抱えていました。
この課題を解決し、お客様の利便性を高め、業務を効率化するために、ローンに関する5種類の証明書(住宅ローン年末残高証明書、返済予定表、融資取引明細表、借入金利息証明書、残高証明書)の発行申請を電話で自動受付するサービスの導入が検討されました。
既に一部の窓口ではモビルスのボイスボット「MOBI VOICE」が使われていましたが、今回はより人間に近い自然な対応と、お客様の状況に応じた正確な聞き取りができる「AIエージェント型ボイスボット」が選ばれました。
モビルスと横浜銀行は、2025年6月から3ヶ月間の実証実験(POC)を行い、申請の受付から完了までを自動化できることを確認。その結果、今回の正式導入に至りました。
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各種証明書の再発行や発行の申請方法については、以下の横浜銀行のホームページで詳細をご確認ください。
AIエージェント型ボイスボットとは?
「AIエージェント型ボイスボット」は、生成AIの技術を活用することで、まるで人が対応しているかのように自然な会話ができる電話自動応答システムです。これまでの自動応答では難しかった、あいまいな依頼でもお客様の意図を正確に読み取り、必要な情報を深く掘り下げて特定することができます。お客様の話し方や状況に合わせて柔軟に会話を進め、受付手続きを完了させます。
例えば、お客様が証明書の名前や店舗名をはっきりと覚えていなくても、AIが登録情報や過去のデータを参照して、可能性の高い候補を提示します。また、電話中の雑音にもうまく対応し、お客様の回答が途中で途切れてしまっても、自然な形で質問を繰り返し、必要な情報を聞き取って申請を受け付けます。

これにより、お客様はストレスなくスムーズな電話対応を体験でき、オペレーターの方々は、折り返し確認や情報の修正といった手間を減らし、業務の効率を上げることができます。
AIエージェント型ボイスボットでの証明書発行受付の流れ

具体的な受付の流れは以下の通りです。
- お客様が横浜銀行の問い合わせ窓口へ電話し、音声案内に従って証明書の発行を選択します。
- AIエージェント型ボイスボットが自動で受付を開始します。
- お客様が取引店舗名や発行を希望する証明書など、必要な情報を話します。
- お客様が言い間違えたり、あいまいな回答をしたりしても、AIエージェントが登録された店舗情報や既存情報から自動で参照・推測し、高い精度で候補となる回答を提示します。
- お客様の回答が不完全だった場合は、自然な形で質問を繰り返し、正確な情報を聞き取って発行申請の受付を完了させます。
(もし追加の質問が必要な場合は、オペレーターがお客様に折り返し電話で確認します。) - 本部担当者が問い合わせ内容を確認し、証明書を発行します。

今後の展望
横浜銀行は、このAIエージェント型ボイスボットの活用をさらに進め、証明書発行に関する電話応対時間を5割削減することで、お客様満足度の向上とコスト削減を目指します。将来的には、24時間365日の対応を実現したり、他の業務にもこのシステムを展開したりして、さらなる利便性の向上を図っていく予定です。
また、問い合わせ窓口での生成AIの活用についても積極的に検討されており、オペレーターを指導・管理するスーパーバイザー向けに、AIに指示を与える「プロンプト」の作成・運用に関するトレーニングの実施も検討されています。これにより、業務全体の質と効率をさらに高める取り組みが強化されるでしょう。
横浜銀行からのコメント
横浜銀行 事務サービス部 融資・外為Gの福島さまは、今回の導入について次のようにコメントしています。
「『MOBI VOICE』を導入して数年が経ち、1次受電についてはボイスボットで完結する部署が広がってきましたが、簡易的な受付以外は『返電(銀行側からお客様にかけ直すこと)』が必須でした。この『返電』をなくせないかと考えていたところ、生成AI活用の提案をいただき、今回『AIエージェント型ボイスボットでの各種証明書の発行受付』を導入しました。
『返電』しなければ得られなかった不明瞭な情報に対しても、AIエージェントがきめ細やかに聞き取りを行うので、すべてではありませんが、『返電』不要な受電が実現できています。特にAIエージェントがピンポイントで住所の間違いを修正してくれた時は感動しました。今後はフローなどを見直し、可能な限り『返電』不要な受電を増やしていきたいと考えています。」
MOBI VOICEについて
「MOBI VOICE(モビボイス®)」は、電話の問い合わせ対応をAIで自動化するボイスボットシステムです。これを導入することで、電話が集中するピーク時の「あふれ呼」に対応したり、24時間365日稼働させたりして、お客様の体験(CX)向上に貢献します。また、オペレーション支援AI「MooA®(ムーア)」と連携することで、対応内容を要約し、そのデータを顧客管理システム(CRM)などに連携させることで、電話後の処理時間(ACW)の削減も可能です。これにより、コールセンターの応答率向上とオペレーターの業務効率化を実現します。
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AI電話自動応答、ボイスボット「MOBI VOICE」の詳細はこちら:
株式会社横浜銀行について
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名称: 株式会社 横浜銀行
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代表者: 代表取締役頭取 片岡 達也
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創立:1920年12月
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本店所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目1番1号
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公式HP:
モビルス株式会社について
モビルス株式会社は、お客様の課題を先回りして解決する「CX(顧客体験)のブランディング設計」を行い、企業の価値と利益向上に貢献する会社です。新しい技術を取り入れたオペレーション支援生成AIサービス「MooA®(ムーア)」や、お客様とのコミュニケーションを電話以外の方法(ノンボイス化)やデジタル化を進めるチャットやボイスボットなどのSaaSソリューション「モビシリーズ」を開発・提供しており、モビシリーズは500社以上に導入されています。
モビルスは、「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」をミッションに掲げ、テクノロジーによる企業のCX向上を目指し「CX-Branding Tech. Lab」を運営しています。ここでは、調査レポートの作成、セミナーの開催、登壇、実証実験を通じた研究開発などを行っています。
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会社名:モビルス株式会社
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代表者:石井智宏
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所在地:東京都品川区東五反田2丁目22番9号 住友不動産大崎ツインビル西館9階
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設立:2011年9月
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上場市場:東京証券取引所 グロース(証券コード:4370)
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事業内容:コンタクトセンター向けSaaSプロダクト(モビシリーズ)などのCXソリューションの提供
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公式HP:
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CX-Branding Tech. Lab:

