理経がVR・AI技術で製造業のDXを加速
株式会社理経は、製造業におけるデジタル変革(DX)を加速させるVR(バーバーチャルリアリティ)とAI(人工知能)の技術開発成果を公開しました。これは、一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)の40周年特集記事としても紹介されており、同社の取り組みが注目されています。

製造業の「人手不足」をVR・AIで解決
理経のインダストリアルAIグループを率いるクシノブ ジャホンギル氏は、VRとAIの力を活用して、日本の製造業が直面する「人手不足」という大きな課題の解決を目指しています。
VR技術は、時間や場所の制約を受けずに作業をシミュレーションしたり、訓練を行ったりできるため、実際の現場での効率を大きく改善する可能性を秘めています。ジャホンギル氏は、2014年にVRデバイスと出会って以来、その産業分野での可能性を確信し、理経のVRエンジニアとして事業の立ち上げに貢献してきました。
現在、彼のチームは、外部の製品に頼るだけでなく、自社で独自のVRソフトウェアを開発しています。これにより、製造現場の複雑な要望にも柔軟に対応できる、質の高いソリューションを提供しています。

技術者を育む企業文化
ジャホンギル氏の「誰かができていることは私もできるはず」という信念は、新しいVR開発において多くの困難を乗り越える原動力となっています。理経では、技術者が新しい挑戦をする際に、上司が寄り添い、共に課題を解決していく企業文化があります。このような環境が、最先端技術の開発を支え、高品質な開発力の維持・向上につながっています。

AIを軸とした未来への展望
理経は、VR・AI技術を製造業だけでなく、さまざまな産業分野へと広げ、社会の課題解決に貢献する事業戦略を進めています。
宇宙ビジネス事業:構想から運用までをトータルサポート
理経は50年以上にわたり衛星通信分野で培った経験を活かし、宇宙産業の新たな時代にも積極的に取り組んでいます。
同社の宇宙ビジネス事業は、電子部品や機器の提供、システムソリューション、ネットワークソリューションという3つの部門が協力し合うことで、宇宙市場に合わせた一貫したサービスを提供できるのが特徴です。たとえば、衛星に搭載する部品の提供から、地上局のアンテナシステム、さらにはNASAでの発射台モデル開発支援といった実績も持っています。
また、低軌道衛星が活躍する時代に対応するため、2023年には株式会社インフォステラと協力して低軌道衛星用の地上局を設置しました。さらに、2025年には国内のアンテナ開発企業である株式会社エルムと提携し、日本の気候に最適な国産衛星アンテナの共同開発を進めています。
AI開発環境インフラ構築:合成データ生成で効率化
AI技術の面では、理経はAI開発に必要なシミュレーション環境をまるごとサポートする「AI開発環境インフラ構築」サービスを提供しています。
このサービスでは、AIが学習するためのコンピューターの土台作りから、シミュレーション環境の整備、高性能なワークステーションの提案、そしてセキュリティ対策まで、AI開発に必要なあらゆる要素をワンストップで提供しています。
特に注目されるのが、「外観検査AI用データ生成支援」です。これは、NVIDIA Omniverseというツールと高性能なコンピューターを使い、3Dデータから本物そっくりの「合成データ」を作り出す技術です。例えば、鉄やアルミ、プラスチックなどの素材に、傷の形を自動で変化させながらデータを生成し、AIが製品の傷などを効率よく学習できるようにします。

さらに、2025年9月には自動車業界向けのデジタルツインアセット「JAPAN USD Automotive」の提供を開始しました。これは、現実の自動車をコンピューターの中にそっくりそのまま再現したデータ群で、実際の車でのテストを行う前に、効率的に開発や検証を進めることを可能にします。自動運転や先進運転支援システム(ADAS)の開発に役立ち、開発コストの削減やスピードアップに貢献します。

社会貢献と国際競争力への貢献
理経のVR・AI技術は、単に技術を開発するだけでなく、宇宙ビジネスやAI開発環境の構築といったさまざまな分野と連携することで、より広い範囲の社会課題の解決に貢献しています。製造業の人手不足を解決するVRソリューション、宇宙インフラを支える通信技術、そしてAI開発を加速させるシミュレーション環境。これらすべてが、理経が長年培ってきた技術力と、「実現可能性を信じて最後までやり切る」という企業文化によって支えられています。
理経はこれからも、最先端の技術を開発し、それを社会で活用することで、日本の国際競争力を維持し、持続可能な社会の実現に貢献していくことでしょう。
クシノブ ジャホンギル氏のプロフィール
株式会社理経 インダストリアルAIグループ グループ長。ウズベキスタン出身。幼い頃から電子機器に興味を持ち、VRの可能性に魅せられて理経の第1号VRエンジニアとして入社。現在は10名以上のチームを率いて、製造業向けのVRソフトウェア開発とAI活用を推進しています。「人間がやっていることは自分にもできるはず」という信念のもと、日本の人手不足解決に貢献するため、バーチャル技術の社会実装に情熱を注いでいます。
関連情報
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VR・AIソリューションの具体的な取り組みの詳細については、以下のインタビュー記事をご覧ください。
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本企画のインタビュー記事一覧
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SAJ 40周年記念サイト
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一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)
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株式会社理経 公式サイト
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一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)事務局お問い合わせページ

