博報堂アイ・スタジオは、ウェブサイトのデータを使ってユーザーの関心や意図を読み取る新しい「関心推測AIエンジン」を開発しました。このエンジンを使ったAIチャットボットソリューションの提供が始まります。
これまでのチャットボットは、ユーザーからの質問を待って答える「受け身」のものがほとんどでした。そのため、「知りたい情報になかなかたどり着けない」「何度か使って利用をやめてしまった」という経験がある方もいるかもしれません。
この新しいソリューションは、そんな課題を解決し、まるで人間が相手の気持ちを察するように、ユーザー一人ひとりに合わせた情報提供を能動的に行うことを目指しています。

「関心推測AIエンジン」とは?
このエンジンの核となるのは、ウェブサイトにある情報(製品説明や記事など)と、ユーザーがサイト内でどんなページを見たか、どれくらいの時間滞在したか、どこをクリックしたかといった「行動データ」をAIがまとめて分析する技術です。これにより、AIは「このユーザーは、〇〇という商品に興味がある」「△△について詳しく知りたいと思っているようだ」といった、ユーザーの具体的な関心や意図を深く理解し、推測できるようになります。
また、このエンジンは「RAG(検索拡張生成)」という技術も活用しています。RAGとは、企業が持つ独自の情報をAIに学習させ、それに基づいて信頼性の高い回答を生成する技術のこと。これにより、より正確で役立つ情報を提供できます。
AIチャットボットの特長
この新しいAIチャットボットソリューションには、大きく分けて2つの特長があります。
1. AIによる能動的なパーソナライズ対話
これまでのチャットボットと最も異なるのは、AIがユーザーに能動的に話しかける点です。ウェブサイトに訪れたユーザーの行動を「関心推測AIエンジン」がリアルタイムで分析し、そのユーザーが何に興味を持っているかをAIが判断します。
たとえば、ある商品ページを熱心に見ていたユーザーに対しては、チャットボットが「この商品について、さらに詳しい情報はいかがですか?」と最適なタイミングで話しかけたり、関連する別の情報を提案したりします。これにより、ユーザーは自分にぴったりの情報をスムーズに得られ、商品購入やサービス利用への意欲が高まることが期待されます。
2. マーケティングのPDCAを強化するデータダッシュボード
このAIチャットボットは、ただ会話するだけでなく、その対話の内容やユーザーのウェブサイトでの行動履歴をしっかり記録し、データとしてまとめてくれます。これらの情報は「データダッシュボード」という形で運営者に見やすく提供されます。
ダッシュボードでは、ユーザーがどんなことに興味を持っているか、どのように行動したかなどが自動で分類・可視化されます。このデータを使うことで、企業は「どんな情報を、どのように提供すれば、もっとユーザーに喜んでもらえるか」という改善策を具体的に考え、効果的なマーケティング活動につなげることができます。

今後の展開
博報堂アイ・スタジオは、これからもUXデザイン(ユーザー体験のデザイン)やブランディング(ブランドの価値を高める活動)で培ってきた知識をAIに学習させ、この「関心推測AIエンジン」をさらに進化させていく予定です。
将来的には、このソリューションを商品の販売サイトだけでなく、ブランドの魅力を伝えるサイト、採用情報サイト、オンラインストアなど、さまざまな場所で活躍する「企業のブランド価値を最大化し、顧客体験を拡張するAIエージェント」として積極的に展開していく計画です。

株式会社博報堂アイ・スタジオについて
株式会社博報堂アイ・スタジオは、オウンドメディア(企業が自社で保有・運営するメディア)を中心に、顧客体験(CX)の設計からデザイン、システム開発、運用までを一貫して提供するデジタル領域の専門家集団です。クライアント企業のブランド価値向上と顧客創造に貢献しています。

