Z Venture Capital、2026年の米国におけるAI投資注力分野を発表

ビジネス活用

Z Venture Capital(ZVC)は、2025年に投資規模や地域展開を大きく広げ、グローバルにスタートアップを支援する体制を強化しました。そして2026年、ZVCの米国チームは、AIが社会に大きな変化をもたらすという考えのもと、特に注目する投資領域を発表しました。

Z Venture Capital 2026年 注目の投資領域

AIがもたらす消費者行動の変化と新たなビジネスモデル

ZVCのパートナーであるHyung Kim氏は、AIが携帯電話の普及に匹敵するほどの大きな変化を、はるかに速いスピードで消費者の行動にもたらしていると述べています。AIによって仕事の効率が上がるだけでなく、日々の生活や物事を決める場面にもAIが影響を与えることで、新しいサービスやビジネスが次々と生まれると見ています。

Hyung Kim氏

Hyung Kim氏が特に注目する4つの領域は以下の通りです。

データ・インフラ

AIの性能を左右するのは、質の高いデータとその管理方法です。AIが進化するにつれて、「どのAIモデルを使うか」よりも「いかに良いデータを集め、管理し、繰り返し使えるようにするか」が重要になります。ZVCは、データの収集、管理、評価、改善を助ける基盤を作るスタートアップに大きな可能性を感じています。

ヘルスケア/ロンジェビティ(健康寿命の延伸)

AIは、薬の開発や個人に合わせた健康アドバイスを加速させています。特に、健康に長く生きることや生活の質を高めることへの関心が高まる中で、消費者が健康サービスにお金を払う意欲は増していくでしょう。予防医療、個別診断、AIによる行動サポート、会員制の健康プログラムなど、新しい消費者向けサービスが生まれると予想されます。

新しい経済モデル

AIは、会社を立ち上げたり事業を広げたりする際の費用とハードルを大きく下げています。ZVCは、AIを「チーム」として活用し、一人で会社を運営する「ソロファウンダー」や、より広い意味でのクリエイターエコノミーから、次の成長が生まれると見ています。AIを活用したクリエイター向けツールや、個人事業主の仕事を自動化する仕組み、そして決済や信用、福利厚生といった金融インフラにも注目しています。

メディア/エンターテインメント

AIによって、コンテンツを作る手間(編集、翻訳、特殊効果、個人に合わせた物語作りなど)は大幅に減りました。しかし、オリジナルのアイデアやセンス、作り手の思いがこもった物語は、依然として人間の強みです。AIを使いこなしながらも、明確な方向性、ブランド、流通を持つスタートアップが成功すると考えられています。特に、コミュニティから生まれるAIメディア体験や、クリエイターの収益化・権利管理を支える仕組みに注目が集まっています。

実行と責任を担うAIが産業を変える

投資マネージャーのSungjoon Park氏は、AIが単なる補助ツールではなく、実際の業務に責任を持つようになる段階に入っていると考えています。重要なのは技術そのものの汎用性よりも、それが現場でどう使われるかです。

Sungjoon Park氏

Sungjoon Park氏が注目する主な分野は以下の通りです。

特定領域に特化した「エージェント型AI」

Park氏は、特定の仕事の流れやルール、意思決定の場面で機能するAIエージェントを作る企業に強い関心を持っています。こうしたAIは、人間を助けるだけでなく、自ら業務を実行し、例外に対応し、結果に責任を持つレベルに進化しています。既存のシステムに自然に組み込まれ、具体的な価値を提供するチームが評価されます。

ロボティクスやフィジカルAIを支えるインフラ層

ロボットや人型AIが注目されがちですが、Park氏は、これらのAIを実際に動かすための基盤技術に魅力を感じています。具体的には、AIが周りの状況を認識する技術、動きを制御する技術、シミュレーション、開発ツール、運用に必要な基盤など、現実世界でのコストや複雑さを減らす技術に注目しています。これらは、産業の自動化、物流、製造、エネルギーといった分野で「必要性」から導入が進むと見ています。

AI社会を支える「縁の下の力持ち」となる技術分野

AIの利用が広がるにつれて、コンピューターの計算力、電力、データセンターの運営といった課題が重要になります。Park氏は、これらの問題を解決し、AIエコシステム全体の成長と安定を支える基盤技術に取り組む企業に惹かれています。

新しい世代のコンシューマー向けAIプロダクト

アソシエイトのYoung Jun (Greg) Eum氏は、2026年が新しい世代の消費者向けAI製品が本格的に登場する転換点になると見ています。特に、ユーザーの行動が急速に変化し、技術が成熟しつつも、まだ明確な成功者がいない3つの領域に注目しています。

Young Jun (Greg) Eum氏

Young Jun (Greg) Eum氏が注目する3つの領域は以下の通りです。

AI搭載バーチャルコンパニオン

AIによる「友だち」や「話し相手」は、特にZ世代を中心に利用が広がっています。個人に合わせた会話や心の支えとなるやり取りを通じて、まるで本物の友人のように寄り添う存在です。まだ収益化は始まったばかりですが、月額課金やデジタルアイテム販売などでビジネスの可能性が見え始めています。ユーザーとともに成長し、映像や音声も取り入れながら、新しいデジタル上の関係性を築くチームに期待が寄せられています。

パーソナルAIエージェント

Eum氏は、AIが単に会話するだけでなく、「実際に動く」ことへの移行に強い関心を持っています。個人のAIが、旅行の手配や予定管理、買い物など、日々のさまざまな作業をこなせるようになってきました。複数のアプリを切り替える代わりに、AIに「何をしたいか」を伝え、作業全体を任せることが可能になります。特に、医療、健康管理、金融、仕事の効率化といった分野に特化し、生活に溶け込むAIに大きな可能性を感じています。

AIネイティブ時代のゲーミング・インフラ

ゲームは、消費者向け技術の中でも進化が速い分野です。AIの活用によって、ゲームの作り方や遊び方そのものが変わり始めています。AIは、ゲーム素材の作成、動作確認の自動化、個人に合わせた遊び方などをサポートします。ZVCは、複数のデバイスで使える開発ツール、AIを前提とした新しい遊び方を支える仕組み、少人数チームでも素早くゲームを世に出せるサービスなど、ゲームの「土台」となる技術への投資を続けています。

AIネイティブ時代における「希少性」としてのオーセンティシティ

アソシエイトのKinuko Kitabatake氏は、AIがコンテンツ作成のコストを大幅に下げる中で、逆に「オーセンティシティ(真正性)」、つまり本物らしさが希少な価値になると考えています。創作活動や人とのつながり、コミュニティ作りにおいて、意図や作者性、動機における本物らしさが、AI時代において最も重要な差別化要因になると見ています。

Kinuko Kitabatake氏

Kinuko Kitabatake氏が注目する領域は以下の通りです。

クリエイター中心のAIツール(音楽・アート・映像・アニメ)

Kitabatake氏は、クリエイターの「創作の伴走者」として機能するAIツールへの投資を考えています。アイデアの整理、試行錯誤の加速、高品質な作品作りを助けるプラットフォームです。特に、著作権や同意、所有権を尊重し、クリエイターが自分の作品の使われ方を理解し、表現の主体性を保てる設計の企業に惹かれています。

本物の創作を、スケールさせる

Kitabatake氏は、創作活動がより多くの人に開かれるべきだと考えています。AIが生成するコンテンツがあふれる時代だからこそ、時間をかけた工夫や技術、考え抜かれた創作がきちんと評価されるツールが、より大きな価値を持つようになると見ています。

親密なソーシャルプロダクトとコミュニティ主導の体験

多くの人に一斉に届ける大規模なネットワークよりも、時間をかけて信頼が育ち、関係性が深まる小さなコミュニティに魅力を感じています。創作やファン活動、学び、趣味といった共通の関心事から生まれるコミュニティを支えるプロダクトに注目しています。

コマース、ファッション、そして持続可能な創作システム

ファッションや中古品売買の市場では、AIが商品の発見、分類、価格設定、物流を効率化し、消費者に快適な体験を提供しています。大量生産よりも「長く使えるもの」や本物らしさを大切にする人が増える中で、持続可能性が購買行動の中心的な理由になりつつあり、この分野にも注目しています。

2026年に向けたZVCのアプローチ

ZVCは2026年、クリエイターや起業家、小さなコミュニティとの関わりを深め、AIが創作現場をどう変えているかを丁寧に見ていく方針です。強い信念と専門知識を持ち、見過ごされがちな課題に取り組む創業期の起業家との出会いを歓迎しています。技術が誠実な創作を後押しし、人との本当のつながりを育み、意味のある文化を支え続けるAI時代の新しい土壌に投資することを目指しています。

Z Venture Capitalの活動については、公式サイトもご覧ください。

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