千葉工業大学は、AI(人工知能)を使った新しい人材育成プログラムを2026年4月より本格的にスタートさせます。このプログラムでは、AIが自ら考えて作業を進める「AIエージェント」との協力を中心に、学生と社会人が一緒に社会の課題解決に取り組みます。

「AIエージェント」とは?
最近よく聞くChatGPTのような「生成AI」は、質問に答えてくれる存在です。それに対して「AIエージェント」は、もっと進んでいて、情報集め、分析、企画、コード作り、確認といった一連の作業をAI自身が自律的にこなしてくれる存在です。人間と協力しながら、複雑な問題も解決に導くことができます。2026年は、このAIエージェントが本格的に社会に導入され始める年になると言われています。
国内大学初!Microsoft「Amplifier」導入
千葉工業大学は、Microsoftが開発中の戦略思考型AIシステム「Amplifier」を国内の大学として初めて教育カリキュラムに導入します。Amplifierは、AIエージェントがより高度な思考をするための土台となる技術です。受講生は、この最先端のシステムを使って、AIエージェントの仕組みを深く理解し、自分だけのAIエージェントを設計・活用するスキルを身につけることを目指します。
この講座では、Amplifierの他に、対話形式で素早く試作品を作れる「バイブコーディング」の実践を通じて、AIエージェントと協力する開発スタイルを学びます。Claude、Cursor、Replit、v0などの最新ツールや、Claude Code、ChatGPT、Geminiといった生成AIも活用され、企画から検証までを効率的に進める方法を習得します。
「バイブコーディング」で開発経験者が2.6倍に急増!
千葉工業大学は、2025年度に「バイブコーディング」という開発手法をいち早く導入し、大きな成果を上げています。バイブコーディングとは、専門的なコードの記述をAIに任せることで、人間は「何を創りたいか」という本質的な問いに集中できる開発手法です。これにより、初心者がわずか3ヶ月で実際に動くプロダクトを完成させる教育モデルを確立しました。
2025年度の実績では、講座開始時に17.6%だったプロダクト作成経験者が、わずか3ヶ月で45.6%と約2.6倍に急増しました。「言葉がそのまま形になる」体験が、技術の壁を取り払い、未経験者の6割以上を「ものづくり」ができる人へと変えました。また、継続的にプロダクトを作成した受講生も3倍以上(5.9%から18.4%)に増えています。
プロダクト作成経験の質的変化(n=136)
| 経験レベル | 開講時(4月) | 終了時(7月) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 開発経験者(チーム・継続)合計 | 24名 (17.6%) | 62名 (45.6%) | 2.6倍に急増 |
| └ 継続的な開発習慣(レベル4) | 8名(5.9%) | 25名(18.4%) | 3.1倍に急増 |
| └ チーム開発の経験(レベル3) | 16名(11.8%) | 37名(27.2%) | 2.31倍 |
| └ 個人での開発経験(レベル2) | 27名 (19.9%) | 35名 (25.7%) | 1.3倍 |
| プロダクト作成未経験 | 85名(62.5%) | 39名(28.7%) | 54%減少 |
このバイブコーディングの導入により、受講生の技術力への自信は46.3%向上し、Web3/AIへの理解も44.5%向上しました。多くの受講生が「自信がない」状態から、自律的に技術を扱えるレベルへと成長を遂げています。2025年度の1講座だけで75種類ものプロダクトが誕生し、中には資金調達を実現したり、ハッカソンで選出されたり、学内アプリケーションとして実際に利用されたりする事例も生まれています。
社会課題解決を目指す「学生×社会人」混合チーム
この講座では、学生と社会人が一緒になったチームで、実際の社会課題に取り組む「プロジェクトベース学習」を行います。課題を見つけ、AIエージェントを使って分析し、さまざまな技術を選びながら、実践的に解決へと導くアプローチを学びます。多様な視点を持つメンバーとの協力は、実社会で役立つチームワークのスキルを育むことにもつながります。
Web3技術で学習体験を楽しく!
ブロックチェーンやNFTといったWeb3技術を活用したコミュニティ活動やゲームのような要素(ゲーミフィケーション)も取り入れられています。これにより、受講生は最先端技術がどのように使われているかを体験しながら学ぶことができ、技術への理解を深めることができます。
学長・伊藤穰一氏からのメッセージ

科目責任者を務める伊藤穰一学長は、「AIエージェントの登場により、開発の本質は『コードを書くこと』から『何を創るかを設計し、AIを操ること』へと大きく変わっています。この講座では、AIを単なる道具ではなく、一緒にものづくりをするパートナーとして活用し、驚くほどの速さでアイデアを形にするエンジニアを育てます。大切なのは、既存の答えを見つける力ではなく、自分の価値観に基づいて『問い』を立てる力です。変化を楽しみ、世界をより良くしようとする学生たちの挑戦を期待しています」と述べています。
講座概要と受講方法
総合科学特論「web3/AI概論」第4期は、2026年4月16日から7月16日まで、毎週木曜日の15時から17時の2時間、全13回にわたってオンライン形式で開講されます(一部対面セッションあり)。定員は300名で、千葉工業大学の学生はもちろん、他大学の学生や社会人も受講可能です。
受講対象
AIやweb3に興味のある以下の方々:
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千葉工業大学の学部生・大学院生
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他大学の学生
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社会人(出願資格あり)
出願資格
令和8年3月31日までに18歳に達する者で、次のいずれかに該当する者。
- 高等学校(中等教育学校を含む)を卒業した者または令和8年3月卒業見込みの者。
- 本学において、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者。
受講申込みの流れ
- 1月30日募集開始: 募集要項を確認。
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1月30日〜3月25日締切: ID登録(出願予約)を行います。
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URL: https://conveni.is.it-chiba.ac.jp/cert/i/i_registration.html
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「所管部署」は必ずプルダウンで「教務」を選択してください。
- 3月26日以降: メールで出願手続きの詳細が案内されます。
- 3月25日〜4月3日: 出願情報を学内システムの指定フォームで送付します。
- 4月3日〜4月14日: 書類審査と選考結果の通知が行われます。面談が実施される場合もあります。
- 4月6日〜4月14日: 受講を確定する方は授業料を振り込みます。
- 4月16日: 授業がスタートします。
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詳細については、千葉工業大学の関連ページをご確認ください。
- 千葉工業大学: https://chibatech.jp/
まとめ
千葉工業大学の「web3/AI概論」は、2021年度の開講以来、常に最先端の技術を取り入れながら進化を続けてきました。そして2026年度は、AIエージェントを中核に据え、単にAIを使うだけでなく「使いこなす」人材を育成することを目指します。AIと協力して社会の課題を解決し、新しい価値を創造する「新人類」のようなエンジニアが、この講座からきっと生まれるでしょう。

