岡山の環境ベンチャー「次の灯」、自社開発で「2025年の崖」に挑むDX戦略

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岡山の環境ベンチャー「次の灯」、自社開発で「2025年の崖」に挑むDX戦略

「2025年の崖」という言葉をご存じでしょうか?これは、経済産業省が警鐘を鳴らす問題で、古いシステムを使い続けることで、将来的に日本全体で大きな経済損失が生まれる可能性があることを指します。特に、ITシステムが複雑になりすぎたり、誰も全体を把握できない状態(ブラックボックス化)になってしまったりすることが原因と言われています。

岡山県で環境事業を展開する「次の灯株式会社」は、この「2025年の崖」という大きな課題に、社内でシステムを開発する体制を強化することで立ち向かっています。同社は、自社の在庫管理システムを新しく作り直し、すでに運用を開始しました。これは、地方にある企業が自分たちの力でデジタル技術を進めていくための、大切な一歩となります。

地方企業が抱えるシステムの課題

日本の多くの企業では、長い間使われてきたシステムが複雑になり、誰も全体を把握できない「ブラックボックス」のような状態になっていることがあります。特に地方企業では、生産管理、顧客管理(CRM)、オンラインショップのシステムなど、様々なシステムがバラバラに動いていて、データのやり取りがうまくいかないことが少なくありません。

そのため、現場の担当者が手作業でデータを入力し直したり、Excelで管理したりすることが頻繁に発生しています。こうした作業は、人のミスを招くだけでなく、ビジネスチャンスを逃したり、会社のデジタル化を妨げる「見えない負担」となって、地域全体の生産性を下げてしまう原因になっていました。

複雑なExcelと連携不足の既存システムから、内製統合基幹システムにより生産管理、CRM、在庫がリアルタイムで連携されるようになった業務改善のBefore/After図です。システム統合による効率化を示しています。

自社開発で課題を解決する「アジャイルな挑戦」

次の灯株式会社は、この問題に対して、外部の専門家の知恵も借りつつ、事業の根幹となるシステムを自分たちの手でコントロールする体制を整えました。

社内エンジニアによる開発推進

専門分野の異なる社内エンジニアたちが協力し合うことで、現場の実際の仕事の流れに合った、より実用的なシステムを作り上げました。

ホワイトボードのシステムアーキテクチャ図を囲み、女性が説明し、男性たちが真剣に耳を傾けている会議風景。チームでの技術的な議論やブレインストーミングの様子がうかがえます。

データのつながりをリアルタイム化

これまで、生産管理システム「ITOS」と顧客管理システム「Salesforce」の間でデータの反映に時間差が生じていましたが、これを解消。製品が完成したらすぐに販売可能な在庫としてシステムに反映されるようになり、在庫の状況が完全に「見える化」されました。

倉庫内で働く2人の作業員が、物流業務に従事しています。男性作業員はハンディターミナルで段ボール箱をスキャンし、女性作業員はカートに乗せたノートパソコンでデータ入力や確認を行っています。背景には多くの段ボールが積まれた棚があり、効率的な倉庫作業の様子がうかがえます。

これは、市場の変化が激しい現代において、地方の企業が自分たちでデジタル基盤を素早く進化させていくための「組織の力を高める」取り組みと言えるでしょう。単に業務を効率化するだけでなく、外部のIT企業に頼り切るのではなく、自分たちでデジタルな財産を作り上げていく「産業構造の転換」を実践しているのです。

地方でのIT人材の活躍と環境への貢献(GX)

この新しいシステムの導入により、次の灯株式会社は様々な良い影響を生み出しています。

在庫ロスをなくし、資源を有効活用(GXへの貢献)

正確な在庫状況を把握できるようになったことで、「在庫があるのに売れない」「品切れなのに注文を受けてしまう」といった問題をなくしました。これにより、無駄な運送や廃棄するものを減らし、会社の資源を最も良い形で使えるようになりました。これは、環境への配慮(GX:グリーントランスフォーメーション)にもつながる大切な取り組みです。

データに基づいた経営へ

集まった正確なデータをもとに、これまでの経験や勘に頼るだけでなく、科学的な根拠に基づいた価格設定や経営戦略を立てることが可能になりました。

地方発のDX人材活用のロールモデル

IT企業ではない事業会社が、高い技術力を持つエンジニアを直接雇用し、成果を出したこの事例は、IT人材が東京などの大都市に集中しがちな問題への解決策の一つとなります。地方の企業もエンジニアにとって魅力的な「挑戦の場」となり得ることを証明しました。

現代的なオフィスで、ビジネスパーソン4人がデータダッシュボードを見ながら会議をしている。男性が「廃棄ロス削減率-40%」を指し示し、物流最適化やCO2排出削減について議論。女性はノートPCで在庫最適化のグラフを表示している。

今後の展望

次の灯株式会社は、今後もこの自社開発体制をさらに活用し、現在は外部のサービスを使っているオンラインショップの機能なども、段階的に自分たちで開発する範囲を広げていく方針です。在庫管理から商品の販売チャネルまで、よりスムーズで柔軟な事業の土台を築くことを目指しています。

同社は、外部パートナーとの協力と、自分たちの技術力向上を両輪として、岡山から「強い組織づくり」と「本当のDX」を発信し続けていくことでしょう。

会社概要

  • 会社名:次の灯 株式会社(Tsuginohi Co.,Ltd.)

  • 所在地:岡山県総社市真壁1448-1(本社)、東京都品川区北品川1-1-11 第3小池ビル5F(東京オフィス)

  • 代表取締役:黒川 聖馬

  • 設立年月日:2018年7月2日

  • 事業内容:自動車部品リサイクル・環境関連技術開発

  • ブランドステートメント:「めぐる、つなぐ、地球にイイコト」

  • URLhttps://tsuginohi.com/

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