日本の製造業は、働く人の数が減っていくという大きな課題に直面しています。特に、長年の経験が必要な「技能伝承」は大きな問題です。この課題を解決するため、株式会社ビーライズと株式会社インタフェースが協力し、デジタル技術を使った新しい取り組みを始めます。
現場起点のデジタルツインで課題解決へ
今回の提携では、インタフェースが持つ実際の製造現場のデータと、ビーライズが得意とする仮想空間での再現・見える化・分析の技術を組み合わせます。これにより、「現場で本当に使えるデジタルツイン」を段階的に作り上げていきます。
デジタルツインとは、現実の工場や設備、作業の様子をそっくりそのままコンピューターの仮想空間に再現する技術のことです。これにより、シミュレーションや分析を行い、業務の改善や効率アップに役立てます。

インタフェースの広島事業所(大竹工場)をモデルケースとして、XR(拡張現実)やAI(人工知能)といった最新技術と、インタフェースのIoT(モノのインターネット)や産業用PC技術を統合します。これにより、人・モノ・設備がリアルタイムでつながる新しい生産管理の仕組みを作ります。
初年度の具体的な取り組み
最初の1年間は、主に「人の手間を減らす(省人化)」「情報を整理する」「作業を効率化する」ことに焦点を当てます。具体的には、工場全体をスキャンしてデジタルツイン空間を作り、そこで使える業務支援アプリを開発し、実際の現場で試していきます。

現場検証の内容
大竹工場での実証実験では、以下のことを行います。
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XRグラス(拡張現実のメガネ)を使った作業のサポートを試す。
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XRグラスを付けて作業することで、どんなデータが集まるかを確認する。
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集めた作業データをデジタルツインにきちんと保存する。
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管理者がPCから作業をサポートしたり、作業データを管理したりする。
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実証実験を繰り返しながら、より良いシステムへと改善していく。
この実証実験を通じて、製造現場で本当に役立つツールを作り、デジタルツインを活用した生産性向上の土台を築くことを目指します。
管理者用PCアプリと作業者用XRグラスアプリ
管理者用PCアプリ
管理者の人には、デジタルツイン空間と連動するPC管理アプリが提供されます。これにより、オフィスから工場全体の動きを一覧で確認できるようになり、進捗確認にかかる手間を減らすことができます。


作業者がXRグラスを着用している場合、「誰がどの作業をしているか」を一目で把握したり、管理者側から手順書を表示する指示を出したりできるようになります。これにより、現場との距離があってもスムーズな連携が可能になります。
作業者用XRグラスアプリ
作業者はXRグラスを使うことで、情報をやり取りします。ビーライズは、このXRグラス用のアプリも開発します。

XRグラスを活用することで、作業者の負担を減らし、より早く正確な作業をサポートします。作業者がXRグラスでQRコードや場所の目印を読み取ると、その作業に必要な情報や手順が適切なタイミングで表示されます。
また、これまで手作業で行っていた写真撮影による作業記録も、XRグラスで撮影すれば自動的にデジタルツイン上に保存されます。これにより、記録にかかる手間や時間を大幅に短縮できます。作業記録が早く正確に行われることで、もし問題が起きた場合でも、どこで何があったのかを細かく追跡できるようになり、製品の品質保証にもつながります。
今後の展望
この取り組みは、単なる実験に留まらず、「製造業の現場に根ざした、他の工場でも応用できるモデルケース」を作り出すことを目指しています。
ビーライズとインタフェースは、広島での連携で得られた成果をもとに、製造業におけるデジタル技術の導入から活用までをサポートする、包括的なソリューションパッケージの提供を目指します。今後は「他社からのデータ提供とビーライズの技術支援」という新しいビジネスモデルにも積極的に取り組んでいく予定です。
株式会社ビーライズは、これからも製造業、建築業、物流業など、さまざまな現場で「本当に役立つデジタルツイン」の構築を支援し、業界全体のデジタル化を加速させていきます。
株式会社ビーライズについて、詳しくは以下のウェブサイトをご覧ください。
https://berise.co.jp/

