
産業現場を変えるAIソリューション「Resolve」が登場
2025年11月13日、IFS Nexus BlackとAI開発で有名なAnthropicは、世界の重要な産業分野でAIの活用をさらに進めるためのパートナーシップを発表しました。この提携から生まれた新しいソリューションの第一弾として、「Resolve」が発表されました。Resolveは、産業に特化したAIを現場で働く人々の手元に直接届け、日々の業務を大きく変え、すぐに役立つ価値を提供することを目指しています。
この協力関係は、IFS Nexus Blackが持つ、航空、製造、プラントといった現場での長年の経験と深い産業知識、そしてAIに関する専門技術と、Anthropicの世界トップクラスのAI技術、そして安全で信頼性の高いAIを開発するという強いこだわりが組み合わさって実現しました。
IFS Nexus BlackのCEOであるクリティ・シャルマ氏は、「Anthropicとの提携は、単に最先端のAIモデルを使うだけでなく、責任を持って安全なAIを開発するという共通の目標が重要です。これは、命に関わる現場で働く産業にとって、絶対に譲れない条件です。本当のAI革命は、このような厳しい産業現場で起きています。これは、話題になるAIではなく、私たちの生活を支え、世界を動かす現場作業者にとって欠かせないAIなのです」とコメントしています。
AIが現場の課題を解決する「Resolve」の力
「Resolve」は、航空宇宙・防衛、建設・エンジニアリング、製造、エネルギー・公益事業・天然資源、通信といった、様々な産業の現場技術者やフィールドワーカーが直面する現実を反映して作られました。このソリューションは、AnthropicのAIモデル「Claude」を活用し、これまで難しかった方法での問題解決を可能にします。
例えば、Resolveは数千枚もの設備画像を分析したり、センサーの計測値を関連付けたり、目視検査のデータや運用データ全体からパターンを見つけ出したりします。これにより、人間が見落とすかもしれない問題を予測して防ぎ、故障が起きる前に異常を検知できるようになります。
多くの産業は、古くなった設備や、熟練した技術者の不足、供給網の不安定さといった、予測しにくい問題に直面しています。さらに、AIインフラの構築など、新たな大きな需要にも対応しなければなりません。一般的なAIや、オフィスワーク向けのAIは、設備やサービスが中心となる現場の業務には合わないため、産業に特化した、効果の高いAIソリューションが求められています。
Anthropicの応用AI部門責任者、ガーヴァン・ドイル氏は、「Anthropicは、最先端のAI技術と、産業界が必要とする安全性・信頼性を兼ね備えています。IFSは、設備投資が多く、資産が重要な現場でAIを導入し、活用してきた実績があり、産業現場の複雑な現実をよく理解しています。両社は、リスクが高い現場にAIを導入しています」と述べています。
実際の成果:ウイスキー蒸留所と災害対応での活躍
ウイスキー蒸留所での運用改善
世界的に有名なウイスキー「グラント」やジン「ヘンドリックス」を製造するWilliam Grant & Sons社は、IFSのResolveを活用して、設備の停止時間を減らし、業務プロセスを改善しています。以前はデータがバラバラだったため、修理の38%が緊急対応となり、コストのかかる停止時間が発生していました。
現在、Resolveは複雑な工場の設計図を読み込み、既存のセンサーと連携して故障を事前に予測します。また、現場の技術者が本当に必要とする情報に基づいて、異常の原因を診断します。パイプの異音、部品の不自然な動きの映像、圧力の変動といった情報をもとに、現場の技術者はResolveを使って迅速に問題を特定できるようになりました。
これにより、蒸留所の設備の停止時間は大幅に減り、生産量も向上しました。通常の運用が確立されれば、年間で約840万ポンド(日本円で約15億円以上)ものコスト削減が見込まれています。
William Grant & SonsのCTO兼事業成長担当責任者であるバドリ・ナラシムハン氏は、「IFS Nexus Blackは、私たちの業界を深く理解しており、一般的なソリューションを無理に適用しようとはしませんでした。実務に合った迅速なイノベーションで、実際の成果に直接つながっています」と話しています。
災害対応の変革
Resolveの活躍は工場現場だけにとどまりません。IFS Nexus BlackとAnthropicのソリューションは、災害対応においても重要な課題を解決しています。米国では、昨年10億ドル規模の損失を伴う気象災害が27件発生しており、気象関連の損失は米国GDPの36%に相当すると言われています。
暴風雨や山火事、洪水といった災害の救援活動では、技術者が中心となって活躍します。彼らは危険な状況下で送電柱に登り、停電した地域を復旧させたり、病院が再び動けるように支援したりする「静かなヒーロー」です。Resolveを活用することで、本社にいる計画担当者は、より早く電力を復旧できるようになります。
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AIによる予測分析で、どの地域がいつ被害を受けるかを評価します。
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技術者は優先度の高い現場に派遣され、隣接する電力会社との協力体制もスムーズになります。
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現場では、Resolveが画像や映像をもとに修理方法を指示し、必要な部品も自動で再配分されます。
その結果、ガス・電力会社は、大規模な災害の後でも、電力の復旧を従来より40%早く行えるようになりました。これにより、より多くの地域が守られ、学校や病院の再開も迅速になっています。
IFSについて
IFSは、産業用AIや企業向けソフトウェアを提供する世界的な企業です。製造業、資産管理、サービス運用といった、社会を支える重要なビジネスを支援しています。IFSの技術は、製品を作り、複雑な設備を保守し、サービスを中心とした業務を管理する企業が、AIの力を使って生産性、効率性、持続可能性を高めることを可能にします。
IFS Cloudは、AIを活用した柔軟なプラットフォームで、お客様の特定のニーズやビジネスの変化に合わせて対応できるよう設計されています。ERP(企業資源計画)、EAM(企業資産管理)、SCM(サプライチェーン管理)、FSM(フィールドサービス管理)といった幅広いニーズに対応します。AI、機械学習、リアルタイムデータ、分析機能を活用し、お客様が適切な情報に基づいて戦略的な意思決定を行い、「サービスの瞬間 (Moment of Service™)」を実現できるよう支援しています。
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