
2025年11月13日、産業用AIソフトウェアの提供で知られるIFSは、自社イベント「Industrial X Unleashed」にて、産業現場でのAI活用に関する最新のイノベーションと、その実運用事例を発表しました。このイベントでは、IFSのAI技術「IFS.ai」がどのように活用されているか、そして新たなパートナーシップを通じてどのような成果が期待できるかが紹介されました。
現場で働く人々のためのAI
IFSのCEO、マーク・モファット氏は、AIが経済成長を促し、社会や地球に良い影響を与える大きなチャンスを秘めていると語りました。特に強調されたのは、「産業現場でのAI活用」です。これまでAIの話題はオフィス業務での生産性向上に注目が集まりがちでしたが、IFSは、工場や建設現場、航空機整備など、現場で働く人々が直面する業界特有の課題に対し、AIを活用した解決策を提供できる唯一の存在であると述べています。ここにこそ、最も大きなイノベーションと効率向上が生まれると考えられています。
産業用AIの成長を加速する取り組み
IFSは、航空宇宙・防衛、エネルギー、建設・エンジニアリング、製造、通信、輸送といった「ハードコア産業」と呼ばれる分野で、AIの能力を現場に適用するための様々なパートナーシップと取り組みを紹介しました。
最先端のAIモデルで作業を効率化
AI企業Anthropicとの協力により、IFSは「IFS Nexus Black」の一部として「Resolve」というソリューションを発表しました。これは、AnthropicのAI「Claude」を使い、現場の作業者が直接AIを活用できるツールです。映像や音声、温度・圧力データ、複雑な設計図など、様々な種類のデータを解析することで、機械の故障を予測し、未然に防ぐことができます。
実例として、世界的な蒸留所であるWilliam Grant & SonsがResolveを導入しました。導入からわずか数週間で、現場のエンジニアが機械のダウンタイム(停止時間)が発生する前に問題を予測・解決できるようになり、設備の信頼性向上や計画外の停止削減に貢献しています。これにより、チームはより価値の高い業務に集中できるようになりました。
ロボットとAIの融合
Boston Dynamicsとの協力では、電力会社EversourceがIFSの産業用AIとロボットを組み合わせて、サービス効率を改善し、440万世帯への電力供給をより良くするための計画が紹介されました。また、1X Technologiesとの新たなパートナーシップも発表され、これにより人型ロボットを産業現場に導入する可能性がさらに広がると考えられます。
次世代の電力供給システムを構築
Siemens Grid Softwareとのパートナーシップでは、IFS.aiを活用して、次世代の自律型(自分で判断して動く)インテリジェントグリッド(賢い電力網)を設計する取り組みが紹介されました。これにより、資産への投資計画や電力インフラのアップグレードがより効率的に行えるようになります。
専門家からのコメント
Constellation Researchの創設者兼会長であるR “Ray” Wang氏は、産業用AIのリーダーシップがようやく確立されたとコメントしています。同氏は、AIを単に既存のソフトウェアに追加するだけでなく、製造業や電力会社、航空宇宙、エネルギーといった分野で、AIを業務に直接組み込み、リアルタイムで自律的に実行し、迅速な意思決定と具体的な成果を達成することが重要だと述べています。
IFSについて
IFSは、産業用AIと企業向けソフトウェアを世界中に提供する企業です。製造業、資産管理、サービス運用など、地球を支える重要なビジネスを支援しています。IFSの技術は、AIの力を活用して、企業の生産性、効率性、持続可能性を高めることを可能にします。
IFS Cloudは、AIを活用した柔軟なプラットフォームで、お客様の特定のニーズやビジネスの変化に合わせて対応できるように設計されています。ERP(統合基幹業務システム)、EAM(企業資産管理)、SCM(サプライチェーン管理)、FSM(フィールドサービス管理)といった幅広いニーズに対応しています。IFSの技術は、AIや機械学習、リアルタイムデータ、分析機能を使い、お客様が情報に基づいた戦略的な意思決定を行い、「サービスの瞬間(Moment of Service™)」を実現できるよう支援しています。
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