学習不要で手間いらず!新AI「Regulus」が電子基板検査を大きく変える

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業界初の学習不要AI「Regulus」とは

シリウスビジョン株式会社は、これまでのAIとは一線を画す、ユーザーによる学習が不要な新しいAI「Regulus(レグルス)」を開発しました。この「Regulus」は、電子基板の卓上型外観品質画像検査機「S-Comet(エスコメット)」に搭載され、販売が始まっています。

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従来のAIでは、製品の「良いもの(良品)」と「悪いもの(不良品)」をAIに覚えさせるために、たくさんの不良品画像データが必要でした。しかし、「Regulus」は、この手間のかかる学習作業を必要としません。そのため、「S-Comet」を導入したその日から、まるで熟練の検査員のように、AIが良品と不良品を判断できるようになります。

「Regulus」は電子基板だけでなく、半導体・電子部品、ウエハー、シール・ラベル、銘板、化粧品・医薬品容器などの印刷品、各種成形品といった様々な製品の外観や印刷の品質検査にも活用され、工場での生産自動化(ファクトリーオートメーション)を大きく進めることが期待されています。

「Regulus」の主な特長

1. 学習型AI「Sirius-AIS」との違い

これまでの学習型AI「Sirius-AIS」では、良品と不良品の画像を大量に集め、さらに不良品の中のどこが欠陥なのかを示すデータを使って、AIが学習するためのモデルを作る必要がありました。この学習用データは、欠陥の種類によっては数十個から100個以上も必要になることがあり、データ集めだけでも大変な時間と労力がかかっていました。さらに、高性能なコンピューターを使っても、学習には数時間から10時間以上かかることもありました。

しかし、新AI「Regulus」では、これらの学習用データ集めも、学習作業も一切不要です。これにより、AI導入のハードルが大きく下がります。

2. 学習不要の新AI「Regulus」の判定方法

「Regulus」が良品か不良品かを判断する方法は、とてもシンプルです。目視で検査を行う人が「これは不良だ」と判断する基準(不良の特徴)を、「Regulus Text」というAIが理解できる指示言葉で伝えるだけです。「Regulus Text」は、検査する対象(電子基板、半導体部品、ウェハー、各種印刷品など)に合わせて、あらかじめ標準で用意されています。

Regulus Textの概念図

ただし、「Regulus Text」を使って正確に判断するためには、既存の画像検査ソフトウェア「FlexVision」、「AsmilVision」、「PolarVision」が持つ従来の技術(ルールベース画像処理)で、良品画像データ、不良品画像データ、不良品内の欠陥領域データを求める必要があります。これらのデータは、Regulusが指示言葉を理解し、正しい判断を下すための基盤となります。

3. UniARTS上で簡易シミュレーション

グループ企業の株式会社UniARTSが提供するクラウドサービス「UniARTS」を利用することで、「Regulus Text」による様々な言葉の表現を簡単に試すことができます。これにより、どの表現が検査対象や不良内容に最も適しているかを測定することが可能です。

顧客の工場にある各種検査機から、検査データ(良品画像データ、不良品画像データ、欠陥領域データ)が自動的にUniARTSに集まるため、すぐに「Regulus Text」を試して、最適な設定を見つけることができます。

Regulusによる判定結果例

不良品判定例

ショート

ショート不良の例1

ショート不良の例2

メッキ不良

メッキ不良の例1

メッキ不良の例2

印刷不良

印刷不良の例1

印刷不良の例2

焼け焦げ

焼け焦げの例1

焼け焦げの例2

良判品定例

位置ずれ ※マーカー部分以外にも全体的にズレが起きています

位置ずれの例1

位置ずれの例2

部品 (抵抗) の向き違い

部品の向き違いの例1

部品の向き違いの例2

「Regulus」の由来

「Regulus(レグルス)」という名前は、1等星の中で一番暗い星に由来しています。人が見つけるのが難しいようなごく小さな不良も、このAIが繊細な目で発見するという願いが込められています。ラテン語で「小さな王」を意味するレグルスが、熟練した目視検査員に代わり、頼りになる「検査の王」となることを願って名付けられました。

また、レグルスが見つけた微小な不良を、1等星の中で一番明るいシリウスが明るく照らし、確実に不良として捉えることができるように、という思いも込められています。

「Regulus」紹介ウェビナーのご案内

2025年11月20日(木)に、「AIが“判断力”を持った⁉ “言葉を教える”だけの次世代AI印刷検査」と題したウェビナーが開催されます。

このウェビナーでは、今回発表された「Regulus」がどのようにシミュレーションされ、どのように検査と連動するのかを詳しく見ることができます。

従来の画像検査では、不良を見逃すことを恐れて設定を厳しくしすぎると、良品まで不良と判断してしまう「過検知」が大きな課題でした。この問題を解決するために、欠陥画像を種類ごとに分類するAIが登場し、検査の自動化と効率化に貢献してきました。

しかし、AIが分類した後の最終的な良否の「判断」は、数値やルールに頼るしかなく、「この程度のキズなら許容範囲」といった熟練者の感覚に近い判断や、まだ学習していない未知の不良への対応には課題が残っていました。

本ウェビナーでは、従来のAIの役割をさらに進化させ、「分類」だけでなく「判断」の領域にまで踏み込む新しいアプローチが紹介されます。AIが画像だけでなく「言葉」を理解することで、まるで熟練の専門家のように「このインクのにじみはNG」と総合的に判断できるようになります。

もう大量の不良品を集める必要はありません。数枚のお手本画像(良品・不良品)と「言葉」で教えるだけで、これまで人にしかできなかった柔軟な検査が、驚くほどの速さで実現します。

ウェビナーの詳細はこちらから確認できます。
https://siriusvision.co.jp/event/251120/

「Regulus」の詳しい情報については、シリウスビジョン株式会社の紹介ページをご覧ください。
https://siriusvision.co.jp/ai/regulus/

シリウスビジョン株式会社について

会社概要

シリウスビジョン株式会社は、「オンリーワンの画像検査技術でモノづくり現場の目視検査をゼロに」を掲げ、画像検査機や画像検査ソフトウェアなどの企画、開発、販売、技術支援を行っています。1966年10月に設立され、本社は神奈川県横浜市にあります。

詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
https://siriusvision.co.jp/

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