「ダイナミックビジョンセンサ(DVS)」ってどんな技術?
「ダイナミックビジョンセンサ(DVS)」は、まるで人間の目のように、動くものだけに反応して情報をとらえることができる特別なカメラセンサーです。従来のカメラがすべての画像を連続して記録するのに対し、DVSは変化があった部分だけを検知するため、データの量が非常に少なく、素早い動きにも対応できます。このため、ロボットの目や自動運転車のセンサーなど、さまざまな分野での活躍が期待されています。
日本のDVS市場が大きく成長する見込み
市場調査会社「Research Nester」の分析によると、日本のダイナミックビジョンセンサ市場は、2025年の1億650万米ドル(約150億円)から、2035年には3億8230万米ドル(約570億円)にまで成長すると予測されています。これは、2026年から2035年の間に年平均13.4%という速いペースで成長することを意味します。

成長を後押しする二つの大きな要因
DVS市場の成長には、主に二つの大きな要因があります。
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「グリーントランスフォーメーション(GX)」の推進
日本は、2035年までに温室効果ガス排出量を約60%、2040年までに約70%削減するという目標を掲げています。DVSカメラは、従来のカメラに比べて消費電力を大幅に抑えることができるため、工場などに導入することで、このGXプロジェクトに大きく貢献できます。 -
高齢化社会における「自動化」のニーズ
日本の人口は高齢化が進んでおり、労働力不足が深刻な問題となっています。日本貿易振興機構(JETRO)の報告によると、自動化やデジタル化を進めないと、2025年以降に約792.7億米ドル(約12兆円)もの経済損失が予測されています。このような背景から、工場や物流、医療現場などでの自動化ツールの需要が高まっており、その「目」となるDVSの需要も増えています。
DVSに関する最新の動き
DVS技術は日々進化しており、関連企業による新しい取り組みが活発に行われています。
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2025年11月には、CenturyArks株式会社が日本で初めて本格的なイベントカメラのセミナーを開催し、イベントベースビジョン技術の最先端を紹介しました。
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2025年10月には、同社がソニーとPropheseeが共同開発した高速イベントベースセンサーを搭載した、世界初の商用イベントベースビジョンカメラモジュールを発表しています。このモジュールは、ロボット、自動車、産業用マシンビジョンなど、幅広い分野での利用を目指しています。
DVSが特に活躍する分野
市場調査によると、特に「産業オートメーション」の分野でDVSが大きな役割を果たすと予測されています。2035年には、DVS市場全体の約42.0%をこの分野が占める見込みです。
日本政府は「Society 5.0」という未来社会の実現を目指しており、その一環としてデジタル化を推進する「デジタルガーデンシティ国家構想プロジェクト」に6億6000万米ドル(約1000億円)以上の予算を割り当てています。これにより、工場におけるロボットの導入やスマートファクトリー化が加速し、DVSのような高度なセンサーの需要がさらに高まるでしょう。
地域ごとのDVS市場の展望
東京
東京は、ロボット工学やスマートファクトリーの導入が急速に進んでいる地域です。より高い品質管理や検査の精度が求められる中で、DVSは欠かせない技術となっています。国際ロボット連盟(IFR)のデータでは、2024年には日本の工場全体で約43万5299台もの産業用ロボットが導入されており、東京もその最前線にあると言えます。
大阪
大阪を含む日本の主要都市では、次世代の高速通信技術である「ポスト5G」インフラの整備に力が入れられています。DVSは、動くものだけを効率的にデータ化するため、データ伝送量を減らすことができ、ポスト5Gのような新しい通信環境に非常に適しています。これにより、大阪地域でもDVSの利用がさらに増えることでしょう。
市場をリードする主な企業
日本のダイナミックビジョンセンサ市場には、以下のような大手企業が名を連ねています。
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ソニーグループ株式会社 (東京)
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パナソニック株式会社 (東京)
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オムロン株式会社 (京都)
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株式会社日立製作所 (東京)
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キヤノン株式会社 (東京)
これらの企業が、DVS技術の発展と市場拡大を牽引しています。
詳細情報
本記事の元となった市場調査レポートの詳細は、以下のResearch Nesterのウェブサイトで確認できます。
