慣れ親しんだ情報が「思考のブレーキ」に?AI企業が創造性の新発見を発表

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慣れ親しんだ情報が「思考のブレーキ」に?AI企業が創造性の新発見を発表

AI(人工知能)技術を開発する株式会社ZENKIGENの研究部門「ZENKIGEN Lab.」が、私たちが普段目にする情報の種類が、新しいアイディアを生み出す力にどう影響するかについての研究結果をまとめ、査読付き専門誌「日本創造学会論文誌」に論文が掲載されました。

研究のハイライト

この研究では、アイディアを考えるときに参考にする情報(エビデンス)が、どれだけ柔軟なアイディアを生み出せるかに影響するかを調べました。

具体的には、脳の活動などを調べる「神経科学的エビデンス」と、アンケートなどから得られる「社会科学的エビデンス」の2種類を比較しています。

結果として、神経科学的エビデンスを参考にすると、より多様なアイディアが生まれやすいことがわかりました。その理由として、神経科学的エビデンスが「独創的」だと感じられたことや、参加者にとって「馴染みが薄い」情報だったことが関係している可能性が考えられます。

アイディアとエビデンスの関係

私たちは仕事や日常生活で、さまざまな情報を集めて問題解決に役立てています。しかし、どんな種類の情報を見るかで、出てくるアイディアが変わるのかは、これまであまり詳しく調べられていませんでした。

そこで、この研究では、情報の作られ方が異なる2種類のエビデンスを比較しました。一つは、脳の働きを調べるfMRI(機能的磁気共鳴画像法)のような「神経科学的な情報」です。もう一つは、アンケート調査のような「社会科学的な情報」です。

アイディアの柔軟性を測る実験

実験では、参加者にオンラインで「マーケティング思考力テスト」という課題に取り組んでもらいました。これは、「自社製品のリンゴジュースの売上が落ち込んでいる」という状況で、「売上を増やすために何をすべきか」というアイディアを自由に出してもらうものです。

参加者には、できるだけ多く、そして幅広いアイディアを考えるように指示しました。出されたアイディアは内容が似ているものをグループに分け、そのグループの数が多ければ多いほど、アイディアの「柔軟性が高い」と判断しました。

重要なのは、この課題に取り組む前に、参加者には「飲料品の売上に関する要因」という架空の論文を読んでもらったことです。この論文には「赤色のラベルは購買意欲を高める」という結論が書かれていましたが、その結論に至るまでの説明が、以下の2パターンに分かれていました。

  • 神経科学的エビデンス版: fMRIを使って、赤色ラベルのコーラを飲んだときに、購買意欲に関わる脳の部位(DLPFC)の活動が最も高かった、という説明。

  • 社会科学的エビデンス版: アンケート調査で、赤色ラベルのコーラが最も購買意欲を高めた、という説明。

参加者はどちらか一方の説明だけを読み、その後にアイディア出しを行いました。

神経科学的エビデンスと社会科学的エビデンスの比較

研究結果:新しい情報がアイディアを広げる

統計的な分析の結果、神経科学的エビデンスを参考にしたグループの方が、より柔軟なアイディアを多く生み出すことがわかりました。

この理由として、研究チームは、神経科学的エビデンスが「独創性が高い」と受け止められたことが影響したのではないかと考えています。また、実験に参加した社会科学系の大学生にとって、神経科学的エビデンスは「馴染みが薄い」情報だったため、逆にそれが新しい視点をもたらし、アイディアの柔軟性を高めた可能性も指摘されています。

新しいアイディアを生み出す鍵は「慣れ親しんだ情報からの脱却」

この研究から、たとえ「権威性が低い」と感じられたり、「馴染みが薄い」と感じられたりする情報でも、積極的に取り入れてみることで、新しいアイディアが生まれやすくなる可能性が示唆されます。

もし新しいアイディアを思いつきたいときは、いつも見ている情報源に偏っていないか、意識的に見直してみることが大切かもしれません。

ZENKIGENは、採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」を通じて、面接での情報の見せ方がユーザーに与える影響を深掘りしています。今回の論文は、情報の可視化や編集が人々の発想にどう影響するかを科学的に探求する、大きな一歩になると考えられています。

掲載論文詳細

  • 掲載誌: 日本創造学会論文誌 Vol.29

  • 論文名: エビデンスの出自が柔軟なアイディア生成に与える影響 神経科学的エビデンスと社会科学的エビデンスの比較

  • 著者: 尾崎幸平、橋本一生、岩本慧悟

  • DOI: https://doi.org/10.24578/japancreativity.29.0_103

ZENKIGEN Lab.とは

ZENKIGEN Lab.は、株式会社ZENKIGENの「テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」というビジョンのもと、学術的な知識や技術を使いながら「人間理解」を深め、既存の製品を良くしたり、新しい製品のアイデアを見つけたりする研究開発チームです。工学者、心理学者、社会学者など、さまざまな専門家が集まっています。

株式会社ZENKIGENについて

2017年10月に創業した株式会社ZENKIGENは、「テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」をビジョンに掲げるAIテックカンパニーです。独自開発のAIモデルや生成AI、LLM(大規模言語モデル)を活用し、採用活動全体を効率化するDXサービス「harutaka(ハルタカ)」を提供しています。

採用の戦略から振り返りまでを一貫してサポートし、1,000社以上の導入実績と、約1,500万件(2025年5月時点)の動画データを保有しています。また、「採用学」の専門家である神戸大学の服部泰宏教授との共同研究を通じて、面接のデータ活用による人事DXにも力を入れています。

会社名:株式会社ZENKIGEN(ゼンキゲン)
ウェブサイト:https://zenkigen.co.jp/
所在地:東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー 21F
設立:2017年10月

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