オーエムネットワーク、生成AI「Claude Code」活用による新規プロダクト開発レポートを公開 ― 開発速度と「理解の壁」の実態

開発・プログラミング

未経験の技術スタックで新規プロダクトを開発 ― オーエムネットワークが生成AI「Claude Code」全面活用の実践レポートを公開

オーエムネットワーク株式会社は、AI経営ツール「R-Board(アールボード)」の開発において、生成AI「Claude Code」をプログラミングの中心に据えた開発手法を実践し、その具体的な成果と課題を「開発秘話」として公開しました。このレポートは、DX推進の現場でよく見られる「導入したものの、なかなか使いこなせない」という課題の根源にある「リテラシーギャップ」について、生成AI開発の現場から得られた教訓を共有するものです。

未経験の技術スタックで新規プロダクト開発に取り組むチームの様子

DX推進の現場に共通する「リテラシーギャップ」

多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、「ツールは導入したけれど、結局使いこなせていない」という問題が頻繁に発生しています。これは、BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)だけでなく、生成AIのような最新ツールでも同様に起こる課題です。

オーエムネットワークは、この問題の根本にはツールの性能ではなく、「活用するための知識や理解(リテラシー)」の不足があると考えています。今回のR-Board開発プロジェクトでは、生成AIという新しいツールを導入する中で、まさにこの「リテラシーギャップ」という壁に直面しました。

DXツールが定着しない理由として、最新ツールの導入と現場での活用を隔てる「リテラシーギャップ」という壁が存在することを図解

未経験の技術スタックとClaude Codeによる開発

R-Boardは「現場と経営をダッシュボードでつなぐ」AI経営ツールとして開発が進められています。2026年1月にはプロトタイプ版の主要機能が完成し、データの可視化だけでなく、AIが「次の一手」を言葉で示す分析機能を実現しています。

今回の開発では、これまで社内で扱ったことのない技術スタック(フロントエンドにReact、バックエンドにPythonのFastAPI)を採用し、プログラミングの大部分に生成AI「Claude Code」を活用するという方針が取られました。これにより、フレームワーク(開発の土台となる仕組み)の構築をわずか数日で完了させるなど、従来の開発手法では数ヶ月を要する規模のプロジェクトを高速で進めることができました。

ただし、R-Boardの製品コンセプトや機能設計、ユーザー体験の設計は、オーエムネットワークが20年以上にわたる業務システム開発で培った知識と経験に基づいて、人間が時間をかけて行っています。生成AIはあくまで「どう作るか」という実装の手段として活用され、「何を作るか」という設計は人間が担当するという役割分担が基本方針でした。

生成AIがもたらした開発スピードの革新

Claude Codeを全面的に活用することで、開発プロセスは大きく変わりました。最新のフレームワークや開発環境を、わずか数日で構築することに成功。これにより、試作品(プロトタイプ)レベルの成果物を非常に短時間で実現できるようになり、アイデアを素早く試して検証するサイクルが高速化されました。

未経験の技術スタックであってもR-Boardのプロトタイプ版が形になったのは、この圧倒的なスピードがあったからこそです。DX推進において「まず試す、素早く検証する」というアジャイルなアプローチ(柔軟で迅速な開発手法)を実現する上で、生成AIは非常に強力なツールであることを実感したとのことです。

なお、生成AIが作ったコードは、設計の意図と合っているか、セキュリティに問題がないかといった観点から、開発チームによるレビューが実施されており、「速さ」と「品質管理」の両立が図られています。

従来の開発プロセスが数週間から数ヶ月かかるのに対し、Claude Codeを全面活用することでわずか数日で基盤整備が完了し、開発期間が劇的に短縮されることを示す図

コードは動く、しかし理解できない ― 新たな課題

一方で、生成AIを活用した開発には、予想していなかった困難も伴いました。

理解が追いつかない速度

生成AIが作り出すプログラムの細かい処理を、人間が完全に理解しきれないという問題に直面しました。AIがコードを生成する速度に、開発者の理解が追いつかないのです。これは個人の能力の問題ではなく、AIが膨大なコードを瞬時に出力する一方で、そのロジックを人間が理解し、判断し、責任を持つには相応の時間がかかるという、構造的な課題でした。

チーム開発における壁

プロジェクトは一人で完結するものではありません。しかし、開発者自身がプログラムの細部を十分に理解できていないため、他のメンバーや協力会社への的確な作業指示や技術的な説明が困難になる場面が多々発生しました。これにより、チーム全体の連携がスムーズに進まず、技術的な問い合わせに即座に答えられないケースが増加し、プロジェクト管理上の大きな課題となりました。

「自分が書いていないコード」をどのように管理していくか。これは、生成AIを活用する開発現場がこれから必ず向き合うことになるテーマです。

DX推進への示唆:課題の構造は同じ

今回の開発経験を通じて、オーエムネットワークは「理解なきスピードは、機能しない」という確信を得たとのことです。

BIツールの導入現場で起きる「数字は見えるが、何をすればいいかわからない」という問題と、生成AI開発の現場で起きた「コードは動くが、なぜ動くのかわからない」という問題は、根本的に同じ構造を持っています。

DX推進に携わる方々にとって、新しいツールを導入する際、スピードや効率化だけでなく、「現場がそのツールを理解し、活用できる状態をどう設計するか」という視点が非常に重要になります。R-Boardが、データを見るだけでなく「次の一手を考える」までを支援する機能を備えているのも、この実体験が原点です。ツールを渡すだけでは現場は変わらず、理解と活用を同時に支援して初めて、DXは前に進むと考えられています。

氷山モデルを用いてビジネス課題を解説する図

まとめ:生成AI導入を検討するDX推進担当者へ

R-Boardの開発を通じて得られた知見は、以下の3つのポイントにまとめられます。

  • 生成AI(Claude Code)は、未経験の分野でも圧倒的な開発スピードを実現し、「まず試す」ことを可能にする強力なツールです。

  • しかし、AIが生成したコードの理解や、チームでの連携には新たな課題が生まれます。ツール導入後の「活用設計」を事前に検討することが必要です。

  • この「リテラシーギャップ」は、BIツール、RPA、生成AIなど、DXツール全般に共通する構造的な課題であり、ツールを選ぶだけでなく、「理解を深めるための設計」こそがDX推進の鍵となります。

R-Boardは、生成AIによる実装スピードと、業務システム開発の専門企業として培ってきた設計品質の両方を強みとして、2026年春のサービス開始に向けて開発を続けています。

2026年春にリリース予定のAI経営ツール「R-Board」の告知画像

製品概要

会社概要

  • 会社名: オーエムネットワーク株式会社

  • 所在地: 新潟県新潟市中央区

  • 代表取締役: 山岸 真也

  • 事業内容: 業務システム開発、シフト管理システム「R-Shift」、勤怠管理システム「R-Kintai」

  • 提供Webhttps://www.omnetwork.co.jp/

  • 関連リンクhttps://www.rshift.jp/

青い斜線が交差する黒い「CMN」の文字と、「Outsourcing & Management Network」というテキストが特徴のロゴ画像

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