QYResearchの新たな市場調査レポート「2輪、3輪のダッシュボード―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、二輪車および三輪車に搭載されるダッシュボードの世界市場は、今後大きく成長すると予測されています。

2024年には約2326百万米ドルだった市場規模が、2025年には2424百万米ドルに拡大し、その後も年平均成長率(CAGR)6.3%で成長を続け、2031年には3506百万米ドルに達する見込みです。
2輪、3輪のダッシュボードとは?その役割と重要性
2輪、3輪のダッシュボードは、オートバイや三輪車に乗る人にとって、速度や走行距離、燃料の残量、警告メッセージなどを知らせてくれる大切な表示装置です。通勤や配送、レジャーなど、さまざまな場面で使われるため、昼夜や天候に関わらず、いつでも見やすいことが求められます。最近では、商用車でも使われるようになり、車両の管理や安全運転をサポートする役割も担っています。

このダッシュボードには、振動に強く、水やほこりに強いこと、そして表示がはっきりしていることが重要です。昔ながらのアナログ表示から、最新のデジタル表示まで、様々な種類があり、それぞれの車種や使い方に合わせて機能が選ばれます。限られたスペースに収まるデザインや、直感的に情報がわかる配置、そして車両の電気系統と安定してつながることも求められ、安全で快適な運転を支えるために、日々進化が続けられています。
日本市場を牽引する技術革新
日本におけるダッシュボード市場の成長は、単に車両の販売台数が増えるだけでなく、新しい技術の開発や、より高度なルール、そして「電動化」の動きによって、製品そのものの価値が変化していることが大きな理由です。

高精度ナビとTFTフルカラー表示の標準化
日本では、2輪、3輪のダッシュボードが、昔ながらの針で示すメーターから、高精細なTFTフルカラー液晶ディスプレイへと急速に変わっています。新しいタイプのダッシュボードは、明るく鮮やかな表示に加え、情報を整理して見せる工夫がされており、速度、エンジンの回転数、燃費、電池の残量、ナビゲーション、スマートフォンの着信通知などを同時に表示できます。
日本の高速道路網の整備やツーリング文化の広がりにより、リアルタイムの交通情報や精密なナビゲーションへの依存度が高まっています。そのため、ダッシュボードは単なる表示装置から、安全な運転を支える「情報プラットフォーム」へと進化しています。スマートフォン連携やBluetooth接続、表示デザインの切り替え機能を持つデジタルメーターは、高級車への搭載が着実に増えています。
国内技術基盤による高付加価値化
日本の2輪、3輪のダッシュボード市場は、長年にわたり国内のメーカーが中心となって発展し、開発から供給までの体制がしっかりとしています。製品は、耐久性や振動への強さ、精密なセンサーの統合といった面で、継続的に高性能化が進められています。例えば、正確な速度計算の技術や、安定したバックライトの仕組み、水に強い構造の強化などが、他の製品との違いを生み出しています。
さらに、ヘッドアップディスプレイ(HUD)技術が高級モデルに導入され始め、ダッシュボードは「情報を表示する装置」から「安全を積極的にサポートする装置」へと役割を広げています。日本の車両メーカーと部品メーカーが協力して開発を進めることで、製品の改良が速くなり、高性能なダッシュボードが市場に広がるのを後押ししています。
電動化による機能構造の再設計
環境に配慮したカーボンニュートラルの取り組みにより、日本でも2輪・3輪車の電動化が進んでいます。電動化はダッシュボードの機能に大きな変化をもたらし、これまでの燃料に関する表示が中心だった構成から、バッテリーの状態を管理するシステム(BMS)の主要なインターフェースへと変わりました。
バッテリーの残量(SOC)、電圧や電流、走行できる距離、回生エネルギーの状態、充電の進み具合などを、正確かつ見やすく表示することが求められています。加えて、動きのあるグラフィック表現で、感覚的に理解しやすいデザインも重要です。電動の車両は、表示のロジックやデータの更新速度にも高い要求があり、ハードウェアの性能とソフトウェアの機能が同時に進化することで、日本市場に新たなニーズが生まれています。
インテリジェント化とシステム化で広がる市場の可能性
今後、日本の2輪、3輪のダッシュボード市場における成長の機会は、単にハードウェアを高性能化するだけでなく、ソフトウェアを重視した設計や、スマートな情報システムとの連携にあります。
5G・V2X連携によるコネクテッド機能の拡大
日本では5Gインフラの整備が進んでおり、ダッシュボードは車両と外部の環境をつなぐ通信の中心へと進化しつつあります。将来的にはV2X(車とあらゆるものとの通信)機能が統合され、信号の情報、事故の警告、工事の情報などをリアルタイムで受け取り、表示できるようになるでしょう。高度なデータ処理能力と、表示の遅れが少ない性能が、競争を勝ち抜くための鍵となります。日本政府が推進する高度道路交通システムとの連携により、インターネットにつながる高性能なダッシュボードの市場には大きな可能性があります。
AI統合によるパーソナライズと予防保全
2輪、3輪のダッシュボードは、AI(人工知能)を使った賢い分析ができる基盤へと進化しています。複数のセンサーから得られるデータとAIのアルゴリズムを組み合わせることで、運転の癖を分析したり、異常な動きを検知したりすることが可能になり、メンテナンスの時期や安全上のリスクを事前に知らせることができます。例えば、急ブレーキの頻度からブレーキの摩耗を警告したり、運転スタイルに合わせて表示モードを自動で切り替えたりする機能が考えられます。AIが搭載されることで、ダッシュボードはただ情報を表示するだけでなく、積極的にユーザーに働きかける装置へと進化し、日本の企業にとってはハードウェアの販売だけでなく、データサービスを提供する新たなビジネスチャンスが生まれています。
AR-HUDの高級車種への展開可能性
拡張現実(AR)に対応したヘッドアップディスプレイ(HUD)は、四輪車に比べて二輪車への導入が難しいとされていますが、安全性を高める効果は非常に大きいものです。ナビゲーションの矢印や危険の警告を、運転者の視界のすぐ前に直接映し出すことで、視線を動かす回数を最小限に抑えられます。日本のメーカーは、精密な光学設計や振動に強い構造の分野で強みを持っています。もし、小型化や少ない電力での動作が実現できれば、高級オートバイや三輪ツーリングモデルへの普及が期待されます。これは、製品を差別化するための高い市場価値を持つ技術となるでしょう。
成長の裏にある参入障壁
大きな成長の可能性を秘めている一方で、日本の2輪、3輪のダッシュボード市場には、技術、構造、コストの三つの面で難しい課題があります。
厳格な品質基準による高い技術ハードル
日本市場では、製品の信頼性に対する要求が非常に厳しいです。製品は、極端な温度や高い湿度、強い振動の中でも長く安定して動き続けることが求められ、防水・防塵性能や電磁両立性(EMC)の基準も非常に高度です。高輝度TFTディスプレイが直射日光の下でも見やすいか、バックライトが長く使っても劣化しないか、本体の密閉設計はどうか、といった点は、長い時間をかけて評価・検証される必要があります。新しく市場に参入しようとする企業にとって、開発や認証にかかる費用は大きな負担となります。
固定化されたサプライチェーン構造
日本の車両メーカーと主要なダッシュボード部品メーカーは、長年にわたる協力関係を築いており、製品の設計段階から一緒に開発を進めるのが一般的です。そのため、新しい企業が途中から参入する機会は限られています。純正部品市場は閉鎖性が高く、たとえ技術的に優れた海外メーカーであっても、実績や信頼関係が不足していると、参入が難しくなります。
ソフトウェア化に伴う収益圧力
将来的な競争力は、ソフトウェアのプラットフォームや、ユーザーインターフェース(UI)およびユーザーエクスペリエンス(UX)のデザイン能力に大きく左右されます。安定したOS(基本ソフト)の構築、インターネット経由での更新(OTAアップデート)への対応、そして継続的なメンテナンス体制には、長期的な投資が必要です。日本の伝統的な製造企業はハードウェアの分野に強みを持つ一方で、ソフトウェア開発の人材確保や、状況に合わせて素早く開発を進める「アジャイル開発」体制への転換が課題となっています。ハードウェアの高性能化とソフトウェアへの投資という二つの負担が同時にかかることは、企業の利益を圧迫する要因となる可能性があります。
まとめとレポート情報
本記事では、2輪、3輪のダッシュボードという製品に焦点を当て、市場を成長させる要因や広がるチャンス、そして乗り越えるべき課題について、わかりやすく説明しました。市場調査会社QYResearchの調査データと分析結果に基づいています。
完全版レポートでは、市場規模や今後の成長予測に加え、地域別や用途別、製品タイプ別の需要の特徴、潜在的なリスクや構造的な課題、主要企業の競争状況、技術革新のトレンド、サプライチェーンの分析、市場機会の詳細な評価まで、幅広い情報が網羅されています。このレポートを通じて、業界全体の構造を理解し、事業戦略の計画や新規参入の判断に役立つ実践的な知識を得ることができます。
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QYResearch会社概要
QYResearch(QYリサーチ)は、2007年に設立されたグローバル市場調査会社です。市場調査レポートやリサーチレポート、委託調査、IPOコンサルティング、事業計画書作成などのサービスを提供しています。現在、世界8カ国に拠点を持ち、160カ国以上の企業に産業情報サービスを提供してきた実績があります。市場調査、競争分析、業界動向の把握、カスタマイズデータの提供、委託調査など、幅広い分野で多くの企業に活用されています。
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