電気光学変調器(EOM)市場が大きく成長!2032年には414百万米ドルに
現代社会において、光を使った通信や計測技術は私たちの生活を支える重要なものです。この分野で、光の信号を電気でコントロールする「電気光学変調器(EOM)」という部品が、これから大きく成長すると予測されています。
電気光学変調器(EOM)とは?
電気光学変調器(EOM)は、光通信の設備や、ものを測るための精密な装置、そして研究に使われる光学システムの中で活躍する部品です。これは、光の明るさや波の形を、外部からの電気信号を使って調整する役割を持っています。
例えば、遠くまで光ファイバーでデータを送る際に信号を調整したり、レーザーで何かを精密に測るシステムで光を正確に制御したりと、安定した信号処理が求められる場面で使われます。特に、インターネットのデータ通信量が増え、データセンターなどの設備が高速化する中で、EOMは全体の性能を左右する重要な部品となっています。
EOMは、広い範囲の周波数に対応でき、信号を安定して変えられ、光の損失が少ないといった特徴があります。温度の変化や外部の振動に強い設計が求められ、長く使い続けられる信頼性も大切です。さまざまな光システムに簡単に組み込めるようにモジュール化された製品もあり、用途に応じて最適な波長や動作条件が選ばれています。光通信市場の拡大や、高精度な計測への需要が高まるにつれて、EOMの需要も継続的に伸びています。

市場規模と今後の成長予測
QYResearchが発表した新しい市場調査レポートによると、世界の電気光学変調器(EOM)市場は、2025年には約2億4,300万米ドルでしたが、2026年には2億6,100万米ドルへと順調に拡大すると見られています。そして、2026年から2032年までの間、年平均8.0%という成長率(CAGR)で伸び続け、2032年には4億1,400万米ドルに達すると予測されています。

市場成長を後押しする主な要因
EOM市場がこれほどまでに成長すると予測される背景には、いくつかの大きな要因があります。
AIとデータセンターの進化
最近話題の「AI(人工知能)」、特に大量のデータを処理する「生成AI」や「大規模機械学習」が普及したことで、データセンターの仕組みは大きく変わってきています。膨大なデータを高速でやり取りするために、データセンター内の光通信技術がより高度なものになっています。超高速で電力をあまり使わず、安定した性能を持つEOMが、このようなAI中心の環境で非常に重要になっているのです。
量子技術の推進
日本政府は、「量子技術」を国の重要な戦略分野と位置づけ、研究開発に力を入れています。量子コンピューターや量子通信といった分野では、非常に精密なレーザー光の制御が必要となり、EOMはその中心となる部品です。最高水準の性能を持つEOMが求められることで、日本の企業は高付加価値なEOMの技術を蓄積し、将来の市場で優位に立つことを目指しています。
材料技術の革新
EOMの性能向上は、使われる材料の進化と密接に関わっています。これまで使われてきたLiNbO₃(ニオブ酸リチウム)という材料に加え、薄膜LiNbO₃(TFLN)やシリコンフォトニクスといった新しい技術が開発され、より広い帯域に対応し、低い電圧で動作し、さらに小型化できるようになっています。日本の企業は、精密な結晶材料や半導体の加工技術において世界的に優位な立場にあり、次世代のEOM開発において重要な役割を担っています。
市場拡大のチャンス
技術の進化やシステムの統合が進む中で、EOMの分野にはさらなる価値を生み出す良い機会が訪れています。
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TFLNの商業化による技術高度化: 薄膜LiNbO₃(TFLN)は、高い性能と小型化を両立できる次世代の材料として注目されています。800G/1.6Tといった高速な光モジュールや、長距離の光通信向けに、高性能で低電圧駆動のEOMの需要が高まると見られています。
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CPO時代における協力的な設計の確立: データ処理能力の向上に伴い、CPO(Co-Packaged Optics)という新しい統合技術が現実のものとなりつつあります。これにより、EOMは単なる部品としてではなく、駆動用ICや光エンジンと一体となって最適な設計がされるようになります。
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量子関連計測市場の立ち上がり: 量子技術が社会で使われるようになるにつれて、高精度なレーザー制御装置や光学計測機器の需要が増えています。EOMはこれらの装置の核となる制御部品であり、高い信頼性と安定性が求められます。
市場成長の課題
一方で、EOM市場の持続的な成長には、いくつかの課題もあります。
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超高速化に伴う設計と熱管理の難しさ: 100Gbaudを超えるような超高速の領域では、電極の設計と光の波長を厳密に合わせる必要があり、少しの誤差が性能の低下に直結します。また、高密度化による発熱の問題も安定性を妨げる要因です。
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原材料と製造プロセスの供給集中リスク: 高性能なEOMは、LiNbO₃結晶やInP基板といった特定の材料に頼っており、これらの供給源が地理的に集中しているというリスクがあります。地政学的な問題や自然災害などが発生した場合、日本国内のメーカーも影響を受ける可能性があります。
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高速光パッケージング分野の人材不足: EOMの性能は、そのパッケージング技術や評価技術に大きく左右されますが、マイクロ波設計と精密な光学実装の両方に精通した技術者は限られています。高度な専門人材の育成には時間がかかり、これが量産化や製品の高度化のスピードを遅らせる要因となっています。
まとめ
電気光学変調器(EOM)市場は、AIや量子技術の進化、材料革新といった強力なドライバーに支えられ、今後大きく成長していくと予測されています。しかし、超高速化に伴う技術的な課題や供給リスク、人材不足といった乗り越えるべきハードルも存在します。
本記事では、EOM市場の現状と将来性をわかりやすくご紹介しました。より詳しい市場データや分析に興味がある方は、QYResearchの完全版レポートをご確認ください。
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電気光学変調器(EOM)の最新情報・無料サンプル申込み: https://www.qyresearch.co.jp/reports/1613308/electro-optic-modulators–eom
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