NTTドコモと日本電気株式会社(NEC)は、国内で初めてアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に商用の5Gコアネットワーク(5GC)を構築し、2026年2月26日より商用サービスを開始しました。この取り組みにより、ネットワークの容量を柔軟かつ迅速に増やせるようになり、信頼性、柔軟性、持続可能性が飛躍的に向上します。
さらに、NTTドコモとNTTドコモビジネス株式会社、NTTドコモソリューションズ株式会社は、AIとGitOpsという技術を組み合わせた「Agentic AI」を使って、ハイブリッドクラウド環境における5GCの設計から構築までを自動化することに世界で初めて成功しました。これにより、人為的なミスを防ぎ、構築にかかる時間を従来と比べて約80%も短縮できるようになりました。今回のAWS上で構築された5GCも、このAgentic AIを活用して作られています。

国内初、AWS上に構築された5GCの商用サービス開始
ドコモとNECは、ネットワークをより柔軟に配置し、信頼性を高めるため、2022年3月からAWSを活用したハイブリッドクラウドで動く5GCの技術検証を進めてきました。この検証では、AWSとドコモが持つ独自の仮想化基盤の5GCを連携させ、通信事業者として必要な安定性や運用性を確認しました。
ハイブリッドクラウド環境の実現には、二つの異なる基盤をつなぐネットワーク設計やセキュリティ設計が大きな課題でしたが、ドコモとNECはこの課題を乗り越え、5GCが問題なく動作することを確認しました。
この技術検証で成功した構成を基に、ドコモとNECは商用環境で必要となる故障に強い設計や予備のシステム構成を導入し、独自の仮想化基盤とパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド環境を実現しました。ドコモは要件の定義や設計方針の策定、ハイブリッドクラウドの実現方法を検討し、NECはAWS上で構築するためのInfrastructure as Code(IaC)やCI/CDを前提とした構築・運用モデルを確立するため、AWS CloudFormation、AWS CodeBuild、AWS CodePipelineなどのAWSのサービスを積極的に活用して全体の設計を見直しました。
このハイブリッドクラウド環境により、構築の自動化に適したアプリケーションが実現し、ネットワークの運用効率の向上に貢献すると期待されています。例えば、イベントなどでネットワークの利用が急増した場合でも、独自の仮想化基盤に加えてAWSのクラウド上にも5GCを構築することで、必要な容量をすぐに増やし、不要になれば縮小するといった柔軟な運用が可能になります。
また、ドコモとNECは、AWSが開発したプロセッサ「AWS Graviton2」上で動く5GCの省電力効果も検証し、消費電力が約7割削減されることを確認しました。商用環境では、さらに新しい「AWS Graviton3」上に5GCを構築しており、Graviton2と同様に環境への負荷を減らす効果が期待できます。
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AWS Gravitonについて: https://aws.amazon.com/jp/ec2/graviton/
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5Gコアネットワークの消費電力削減に関する過去の取り組み: https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/2022/topics_220929_00.pdf
世界初、AIとGitOpsを活用した5GCの自動構築に成功
ドコモとNTTドコモビジネスは、NTTドコモソリューションズとともに、ネットワーク構築における人為的なミスを防ぎ、構築期間を短くするために、GitOpsとAIを活用した5GCの設計と構築の自動化を実現しました。
ドコモは、AWS上での5GC構築において、Gitリポジトリを中心に設定を管理し、変更を自動で環境に反映する「GitOps」という運用管理方法をNTTドコモソリューションズとともに導入しました。これにより、クラウドの基盤やネットワークから5GCまでの構築が自動化されました。NTTドコモビジネスは、5GC設計構築の自動化とAgentic AIの開発を担当し、NTTドコモソリューションズはGitOpsにおけるAWS基盤部分の実装と動作検証を行いました。
さらに、設定値の設計などの人が行う作業を大幅に減らすため、AWSのAIエージェント開発サービス「Amazon Bedrock AgentCore」を活用した「Agentic AI」や「Model Context Protocol(MCP)」という技術を採用し、GitOpsと組み合わせた新しいシステムを作り上げました。
これまで、5GCの構築には複雑な設定ファイルをたくさん作成・修正する必要があり、多くの人手と時間がかかっていました。NTTドコモビジネスは、Amazon Bedrock AgentCoreを使って複数のAIエージェントによるAgentic AIを実装することで、設定値の設計、設定ファイルの作成、GitOpsへの構築指示などを自動化しました。この結果、5GCの構築にかかる時間を従来と比べて約80%も短縮することに成功しました。
今後、ネットワークのさらなる高速化と精度向上を目指し、AIが利用できる知識の高度化やAIエージェントの役割分担の最適化を進めていきます。AIによる生成と実行を組み合わせることで、再現性、信頼性、運用効率を高め、AIの活用範囲を広げながら、5GC運用の完全自動化に向けた取り組みを加速していくとのことです。
各社のコメント
各社の担当者は、この取り組みについて次のようにコメントしています。
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株式会社NTTドコモ 執行役員 コアネットワークデザイン部長 平口 暢子氏
「本取り組みは、ドコモが目指すネットワークの高度化を大きく前進させるものです。AWSのスケーラブルなクラウド基盤、NECの信頼性の高い5GC、そしてドコモビジネスによるAgentic AIの知見を融合しました。オンプレミスとパブリッククラウドの併用で信頼性と需要追従性を高め、AIによる自動化で構築期間を短縮することで、お客様へのサービス提供に貢献していきます。AI活用に挑戦してきたことが世界初の実現につながったと考えており、今後も挑戦を続けてまいります。」 -
日本電気株式会社 Corporate SVP 兼 ネットワークソリューション事業部門長 佐藤 崇氏
「NECは、5GCソフトウェアの提供を通じてNTTドコモとAWSとともに、通信インフラの変革に貢献できることを誇りに思います。今回の商用展開は、日本の通信技術とグローバルなクラウドプラットフォームの融合により、世界をリードする通信インフラを実現した成果です。今後も通信事業者様のネットワーク進化に貢献してまいります。」 -
NTTドコモビジネス株式会社 イノベーションセンター 副センター長 池尻 雄一氏
「Agentic AIによる5GC自動構築は、コアネットワーク構築プロセスを大きく変革します。今後もAIの力を積極的に取り入れ、サービス提供までのリードタイム短縮、設計・構築プロセスの標準化や品質の平準化を実現し、サービスをより迅速かつ安定的に市場へ届けてまいります。」 -
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 常務執行役員 情報通信・メディア・エンターテイメント・ゲーム・スポーツ・戦略事業統括本部 統括本部長 恒松 幹彦氏
「NTTドコモはテクノロジーリーダーとして通信業界を牽引し、AWSとの長年のパートナーシップにより、さまざまなイノベーションに取り組んできました。AIとクラウドの融合を通信領域に適用していくことは、通信事業者が安定した通信サービスを提供しながら、より迅速かつ柔軟にお客様のニーズに応える、新たな可能性を切り拓くものです。AWSは、社会基盤である通信インフラの進化に向け、ドコモ、NECとともに挑戦を続けてまいります。」
このAgentic AIを活用した5GC構築の自動化については、Mobile World Congress Barcelona 2026(MWC 2026)にも出展し、その独自性が世界に発信される予定です。
用語解説
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5Gコアネットワーク(5GC): 5G通信の「頭脳」にあたる部分で、データの処理や管理、通信の接続などをまとめて行う重要なシステムです。
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Agentic AI: 複数のAIエージェントがそれぞれの役割を持ち、状況に合わせて計画を立て直しながら、目標達成に向けて作業全体を自動で行うシステムです。
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GitOps: インフラやアプリケーションの設定情報をすべて「Git」というシステムで管理し、変更があった場合に自動で検知・同期することで、常に設定が正しい状態に保たれるようにする運用自動化の手法です。
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Infrastructure as Code (IaC): サーバーやネットワークなどのインフラの構成を、コード(プログラムの記述)として定義・管理し、自動的に構築・変更・再現できるようにする考え方や手法です。
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CI/CD: ソースコードの変更をきっかけに、ソフトウェアのビルド(組み立て)、テスト、デプロイ(配置・公開)までの一連の流れを自動化し、継続的にソフトウェアを開発・提供するための仕組みです。
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AWS CloudFormation: AWSのさまざまなサービスをYAMLやJSON形式のテンプレートで定義し、その内容に基づいてAWSのリソースを自動で作成・更新・削除するIaCサービスです。
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AWS CodeBuild: ソースコードのビルドやテストの実行、デプロイ可能な成果物の生成を、サーバー管理なしで自動で行えるサービスです。
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AWS CodePipeline: ソフトウェアのリリースに関わる一連の工程(ソースコードの取得からビルド、テスト、デプロイまで)を自動的に連携・実行するサービスです。
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AWS Graviton: AWSが自社開発した、クラウドコンピューティングサービス向けの高性能なプロセッサです。Graviton2は第2世代、Graviton3は第3世代を指します。
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Gitリポジトリ: ファイルやディレクトリの変更履歴を保存・管理するためのデータベースシステムです。
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Amazon Bedrock AgentCore: AIエージェントを安全かつ大規模に構築、展開、運用するための、実行基盤、メモリ管理、ツール連携などを提供するフルマネージドなエージェント基盤サービスです。
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Model Context Protocol (MCP): AIエージェントが外部のツールやデータに安全かつ統一された方法でアクセスするための標準化されたルールです。これにより、ツールとAIの連携がしやすくなります。

