
株式会社セールスフォース・ジャパンは、人とAIエージェントが信頼性の高い単一のシステムで連携するための基盤「Agentforce 360」を日本市場で提供開始すると発表しました。この新しいプラットフォームは、企業がAI時代における業務の進め方を見直し、「エージェンティック エンタープライズ」へと変革することをサポートします。
エージェンティック エンタープライズとは、人とAIエージェントが協力し合い、人の可能性を広げる新しい働き方を指します。信頼できるデータに基づいた意思決定を促進し、顧客とのスムーズな対話を通じて継続的な顧客体験を実現します。Salesforceは、過去1年間にAgentforceの主要なリリースを4回行い、数千の顧客への導入実績を持つとともに、自社でもAIエージェントの活用を実証しています。
Agentforce 360の独自の強み
Salesforceは、新たなAI時代に向けて製品プラットフォームを再構築しました。「Agentforce 360」は、アプリケーション、データ、メタデータ、AIエージェントを単一のプラットフォーム上に統合し、一つのコードベースで運用されます。この統合されたプラットフォームこそが、Salesforceの独自の強みとなっています。
日本で利用可能なAgentforce 360の4つの主要要素と機能
1. Agentforce 360 Platform
エンタープライズグレードのAIエージェント基盤です。会話型ビルダーやハイブリッド推論、音声機能を新たに備えています。
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オブザーバビリティ(Observability OptimizationとObservability Analytics): 新しいダッシュボードで、AIの推論プロセス、精度、コンプライアンスを監視し、信頼性を高めます。
- 提供開始:2026年11月予定
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Agentforce Voice: IVRシステムを自然なリアルタイム会話に変える音声レイヤーです。Amazon Connect、Five9、NiCE、Vonageなど主要なCCaaS(Contact Center as a Service)パートナーと互換性があります。
- 提供開始:2026年2月予定
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Agentforce Builder: 自然言語を使ってAIエージェントの設計、テスト、デプロイを行える会話型開発スタジオです。
- 提供開始:2025年12月ベータ版開始予定
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Agent Script: 決定論的ワークフローと、柔軟なLLM推論を組み合わせ、精度と適応性を向上させます。
- 提供開始:2025年12月ベータ版開始予定
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Agentforce Vibes: ローコード開発をAI領域に拡張し、企業データとガバナンスに基づいたアプリケーションをバイブコーディングで構築できます。
- 提供中
2. Data 360(旧Data Cloud)
信頼性の高い統合データレイヤーで、あらゆるAIエージェントに適切な情報(コンテキスト)を提供します。非構造化データや分析結果をAIが利用できる形に変換します。
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Intelligent Context: PDFや図表などの非構造化コンテンツにAIエージェントがアクセスし、トラブルシューティングや分析などの業務を支援します。
- 提供中
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Unstructured Data Governance: 構造化データと非構造化データを含むすべてのデータに、プライバシーおよびコンプライアンスポリシーを自動的に適用します。
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US提供開始:2025年11月ベータ版開始予定
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日本提供開始:2026年4月ベータ版開始予定
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Clean Rooms: 未加工データを公開したり、機密性を損なうことなく、利用者データについて他の関係者と安全に協力できます。
- 提供開始:2025年12月予定
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Agentic Setup & Data Management: エコシステム全体でAIエージェントとデータ、セマンティクスを連携させ、ベンダーロックインを避けながら一貫性を保ちます。
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US提供開始:2026年3月予定
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日本提供開始:2026年3月より段階的に開始予定
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3. Customer 360アプリ
企業のビジネスロジックと知見(セールス、サービス、マーケティング、オペレーションなど)をAIエージェントで具現化し、顧客一人ひとりやプロセスを深く理解します。
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Agentforce Sales(旧Sales Cloud): 見込み客の発掘、適格性の判断、見積書の作成を自動化し、最適な次のアクションを提案します。
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Sales Workspace、Account Planning:パイロット提供中
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Prospecting:2026年2月提供開始予定
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Agentforce Service(旧Service Cloud): サービス向けCommand Centerを強化し、プロアクティブで常時稼働のサポートを実現します。
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Service Portals、Service Console、Command Center for Service:提供中
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Adaptive Service Rep Assistant:2026年3月ベータ版開始予定
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Agentforce Field Service(旧Field Service): スケジューリングの自動化、Esri経由でのライブマップ統合、音声入力によるハンズフリーでのデータ収集を可能にします。
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Autonomous Scheduling、Salesforce Go:提供中
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Dynamic Scaling:2026年2月提供開始予定
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Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud): チャネルをAIエージェントとの双方向の会話の場へと変革し、パーソナライズされた体験と顧客生涯価値の向上を実現します。
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2-way Email Conversation:2025年12月予定
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Journey Decisioning、Unified Analytics:提供開始済み
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Adaptive Websites:2025年12月提供開始予定
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Multi-touch Attribution:2026年2月提供開始予定
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Agentforce Revenue Management(旧Revenue Cloud): AIエージェントが見積作成、請求処理、消費量管理を支援し、営業、オペレーション、請求チームを強化します。
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Salesforce Go:提供中
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Consumption Agent、Billing Agent:2025年11月ベータ版開始予定
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Agentforce Commerce(旧Commerce Cloud): 会話型でガイド付きのショッピング体験と決済により、購入者のコンバージョン率向上と購買力拡大を支援します。
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Guided Shopping、B2B Configurator:提供中
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Order Routing:2026年7月提供開始予定
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Agentforce IT Service: 専門的なAIエージェントを導入することで、ITコストの削減と従業員の生産性向上を支援します。SlackやMicrosoft Teamsを含むあらゆる場所で24時間365日対応の会話型サポートを提供します。
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Agents for Employees、CMDB & Service Graph:2026年3月予定
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IT Service Desk:提供中
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4. Slack
人とAIエージェントが協働するための会話型インターフェースで、ナレッジ、行動、データをリアルタイムで結びつけます。
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Slackbot: 文書作成支援、メッセージ要約、ハドルミーティングメモ作成など、状況を理解するアシスタント機能を提供します。
- 提供開始:2026年前半予定
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サードパーティAIとの連携: OpenAI、Anthropic、Google、PerplexityなどのAIを新たなAPIで統合し、リアルタイムのナレッジ提供と自動化を実現します。
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Slackファーストアプリ: 営業、ITサービス、人事サービス、Tableau Nextをはじめとするすべてのアプリに会話型のインターフェースを提供します。
- 提供中
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Channel Expert Agent: Slackの各チャンネルに常駐するデジタルメンバーとして、よくある質問への回答や情報検索、必要に応じた人への引き継ぎまでを担います。
- 提供中
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エンタープライズ検索: AIを活用した検索機能により、組織全体のアプリやファイルを検索し、必要な情報を高精度で見つけるのに役立ちます。
- 提供中
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モデルコンテキストプロトコル(MCP): バラバラに存在していたAIツールをSlack上に統合し、企業全体のAIエコシステムをシームレスにつなぐ基盤を実現します。
- 2026年2月予定
その他の日本で利用可能になる製品と機能
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Tableau: プロアクティブなインサイトによってデータドリブンな意思決定を支援し、業務の流れの中でコンテキストに沿ったデータを提供します。
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C360 セマンティックデータモデル:2026年12月予定
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Tableau Next とSlack 連携:2026年上半期中に提供予定
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Agentforce Tableau – コンシェルジュ:2026年上半期中に提供予定
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Agentforce Tableau – データプロ:2026年中に提供予定
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Agentforce Tableau – インスペクター:2026年上半期中にベータ版提供予定
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MuleSoft: あらゆるアプリケーションとAIエージェントを接続し管理します。事前構築されたコネクタとローコードツールを活用し、企業全体のエコシステムでアクションのオーケストレーションを実行します。
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MuleSoft Agent Fabric (Agent Registry, Agent Governance, Agent Broker, Agent Visualizaer):提供中
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MuleSoft Vibes、MuleSoft Vibes: Connector Builder:提供中(2026年前半に日本語正式サポート提供予定)
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MuleSoft Diagnostics Agent、MuleSoft AI Connectors for NVIDIA:提供中
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Integration Intelligence:2025年12月予定
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Platform & Security: Agentforceにより、ユーザーのアクティビティを監視し、異常を検知、調査を迅速化し、修復までをガイドします。また、規制のコンテキストを理解しながら、自律的にデータの露出リスクを特定・分類・優先順位付けして対応します。
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セキュリティセンターにおけるAgentforce活用によるセキュリティ強化:提供中
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プライバシーセンターにおけるAgentforce活用によるコンプライアンス自動化:提供中
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Security Mesh:2026年前半予定
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日本でも広がるAIエージェントとデータ活用
日本でも業界や規模を問わず、AIエージェントやデータを活用する企業が増えています。例えば、LINEヤフーはカスタマーサポート業務にAgentforceを採用し、三菱UFJ銀行は金融業界向けのAgentforce 360 for Financial Servicesを選定しています。東京海上ホールディングスおよび東京海上日動もAgentforceを活用するためSalesforceと戦略的な提携を結びました。さらに、清水勧業(北海道札幌市)、ジェーイーイーエル(広島県福山市)、リージョンデザイン・ホールディングス(鳥取県米子市)など、日本全国の中堅中小企業がAIエージェントとデータ活用により経営課題の解決に取り組んでいます。
日本市場での製品提供を加速
Salesforceは2024年2月に製品統括本部を立ち上げ、AI時代のイノベーションを迅速に日本市場の顧客やパートナーに提供してきました。2024年9月に米国で発表された「Agentforce」は、同年10月に日本市場での提供開始が発表されています。その後もAgentforceはメジャーリリースを継続し、日本ではAgentforce 2の機能を2025年1月、Agentforce 2dxを2025年4月、Agentforce 3を2025年7月に提供を開始しました。Salesforceは今後も、企業がエージェンティック エンタープライズへ移行するための製品や機能を迅速に国内提供することで、その支援に注力していく方針です。
詳細情報
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Agentforce 360についての詳細は、こちら(英語)をご覧ください。
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Salesforceのコーポレートサイトはsalesforce.com/jpをご覧ください。
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日本向けの最新情報は、salesforce.com/jp/news/で確認できます。
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