はじめに:温度を「見る」技術、ハンドヘルド熱画像装置とは?
ハンドヘルド熱画像装置とは、私たちの目には見えない「熱」を画像として捉えることができる特別なカメラのことです。例えば、建物のどこから熱が逃げているか、機械がどこか故障していないか、人や動物が暗闇に隠れていないかなどを、温度の違いを色で表示して教えてくれます。まるで、温度が「見える」ようになる魔法のような道具ですね。
この便利な装置の市場が、今、世界中で大きく成長しようとしています。
2035年には74.5億ドル規模へ!市場の大きな成長
SDKI Analyticsの調査によると、ハンドヘルド熱画像装置の市場は、2025年には約38.5億米ドルだったものが、2035年には約74.5億米ドルにまで拡大すると予測されています。これは、約6.8%という堅実な成長率で伸びていくことを示しています。

なぜこんなに注目されているの?市場を動かす力
この市場が大きく成長する背景には、いくつかの理由があります。
一つは、エネルギーコストの上昇と、建物のエネルギー効率に関する基準が世界的に厳しくなっていることです。熱画像装置を使えば、建物からどこで熱が逃げているかを簡単に見つけ出し、無駄なエネルギー消費を減らすことができます。これは、お財布にも地球にも優しい取り組みですね。
乗り越えるべき課題
一方で、乗り越えるべき課題もあります。高性能な業務用ハンドヘルド熱画像装置は、まだ初期費用が高く、中小企業や価格に敏感な市場、自治体などでは導入しにくい場合があります。このコストの問題が、予測期間中の市場全体のさらなる成長を少しだけ妨げる可能性もあるでしょう。
AIの力で進化する熱画像装置の「今」
最近では、熱画像装置もAI(人工知能)の力を借りて、さらに賢く、使いやすくなっています。
例えば、2025年11月にはRaythink Technologyが、プロ仕様の熱画像をより手軽に使える「EX10シリーズ」を発表しました。
また、2025年9月にはRaytronが、AIを活用した熱画像ソリューションを展示し、小型で高解像度の製品へのニーズに応えようとしています。AIが加わることで、熱画像から得られる情報をより正確に、より素早く分析できるようになるでしょう。
どんなところで使われているの?主な利用分野
ハンドヘルド熱画像装置は、非常に幅広い分野で活躍しています。
特に大きなシェアを占めると予想されているのは、軍事・防衛の分野です。夜間の監視や目標の捕捉、国境警備などでその能力を発揮します。
その他にも、工場の機械の異常を早期に発見する産業検査、火災現場での状況把握に役立つ消防、病気の早期発見につながるヘルスケア/医療診断、そして犯罪捜査などで使われる法執行機関など、私たちの安全や暮らしを守るために重要な役割を担っています。
アジア太平洋地域、特に日本での熱い動向
地域別に見ると、アジア太平洋地域が最も高い成長率を示すと予測されています。特に、中国、インド、日本、韓国といった国々での急速な工業化や自動化の進展、防衛ニーズの高まり、スマートシティプロジェクトの増加が、この地域の市場を牽引しています。
日本でも、電子機器や半導体、自動車産業での品質管理や予防保全、さらには地震や火災といった自然災害が多いことから、高度な熱画像診断ツールの必要性が高まり、市場が活発に成長しています。
この分野をリードする企業たち
世界のハンドヘルド熱画像装置市場には、以下のような主要な企業がいます。
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Teledyne FLIR (FLIR Systems)
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Fluke Corporation
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Testo SE & Co. KGaA
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Seek Thermal Inc.
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InfraTec GmbH
そして、日本市場を牽引するトップ企業には、
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日本アビオニクス株式会社 (NEC Avio Infrared Technologies Co., Ltd.)
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日本サーモ株式会社 (Nippon Thermo Co., Ltd.)
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株式会社チノー (Chino Corporation)
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株式会社キーエンス (Keyence Corporation)
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横河電機株式会社 (Yokogawa Electric Corporation)
などが挙げられます。
まとめ
ハンドヘルド熱画像装置は、目に見えない熱を可視化することで、私たちの生活の様々な場面で役立つ未来の技術です。エネルギー効率の改善からセキュリティ強化、そしてAIとの組み合わせによるさらなる進化が期待されています。この市場の今後の発展に注目していきましょう。
SDKI Analyticsのこの市場調査レポートの詳細は、以下のリンクから確認できます。

