日本海洋重工業株式会社が、防衛・技術安全保障のための無人アセットコンソーシアム「RISE(Resilient Initiative for Unmanned Systems Engineering)」に参画しました。
この参画を機に、JISDA株式会社との間で、無人航空機(UAV)と無人水上艇(USV)が協力し合って動く「群制御」技術の開発がスタートします。

無人機が協力し合う「群制御」とは?
海の上で無人機を使う際には、広い範囲をカバーする必要がある、通信が途切れやすい、天候や海の状況が変わりやすい、常に状況を把握し続ける必要がある、といった様々な難しい課題があります。
そこで「RISE」では、空を飛ぶ無人機(UAV)の「広い範囲を素早く見渡せる力」と、海を走る無人艇(USV)の「長く活動できる力や海での行動力」を組み合わせることで、実際に役立つ「協力して動く仕組み」を作ろうとしています。
この「群制御」という技術は、無人機たちがまるで一つのチームのように連携し、それぞれの得意なことを活かして、より効率的かつ効果的に任務を遂行できるようにするものです。
防衛から災害対応まで、幅広い分野での活躍に期待
このような技術は、国の安全を守る分野だけでなく、私たちの日常生活にも役立つ「デュアルユース」の可能性を秘めています。例えば、海に設置されたインフラの監視、港の警備、災害が起きた時の対応、海での事故救助のサポート、海の状況を調べる観測、洋上の設備の点検など、様々な民生分野での応用が考えられます。
今回の協力は、公共の利益につながり、実際に使える海の無人システム活用モデルを作ることを目指しています。
協業・連携の主な内容
JISDAと日本海洋重工業は、以下の4つの分野で協力して進めていきます。
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無人機の協力運用のルール作り
海での監視、港や沿岸の警備、大切なインフラの保護、災害時の情報収集などを想定し、UAVとUSVがどのような役割分担をし、人と無人機がどう協力するか、指揮の仕方、通信が途切れた時の動き方など、協力運用のためのルールを一緒に考えます。 -
UAVをUSVがサポートする仕組みの開発
UAVが海の上で長く活動できるように、USVがUAVのバッテリー交換や電力の補給、離着陸のサポート、衛星通信の中継、任務データの集約などを担う仕組みを考え、開発を進めます。また、不審な無人機への対処として、自社のUAVによる防御や迎撃の運用方法も検討します。 -
素早く製品を作る能力の向上
無人機の技術は進化が速いため、設計の変更や新しい仕様を短い期間で製品に反映できるような、素早く試作・評価・改良を繰り返せる体制を作ります。将来的には、部品を組み合わせやすくしたり、ソフトウェアを柔軟に構成したりすることで、分散して柔軟に製品を作れる仕組みを目指します。 -
柔軟な試験環境の整備
無人機を組み合わせて使うためには、机上での検討だけでなく、シミュレーション、実際の海での試験、段階的な実証、そして実際に使う人たちによる評価を何度も繰り返せる環境が不可欠です。両社は、素早い検証を可能にする試験環境の整備にも協力し、開発サイクルを強化します。
各社代表コメント
JISDA株式会社 代表・國井翔太氏
「日本の豊かな海を守り、その価値を未来へつないでいくことは、私たちの世代に課された大きな責任だと考えています。海を守ることは、自然を守り、資源を守り、人々の生活や命を守ることにもつながります。私たちは、無人機の技術は海においてさらに大きな可能性を発揮できると考えています。これまで単独の企業では実現が難しかったソリューションが、今回の協業によって具体化できると強く確信しています。異なる強みを持つプレイヤーが連携し、新しい価値を生み出していくことこそ、私たちがコンソーシアムとして目指していることの一つです。日本海洋重工業の皆さまとご一緒できることを大変心強く感じております。」
日本海洋重工業株式会社 代表・山口澪音氏
「海洋における持続的なミッションの遂行には、UAVとUSVの連携が不可欠です。航空機では搭載できない大容量のペイロードをUSVが担い、UAVが空中から広域の状況把握をリアルタイムで提供することで、長時間・広域にわたる任務継続が初めて可能になります。これはまさに、日本海洋重工業が掲げる『持続可能な無人防衛の実現』というミッションに直結する取り組みです。また、海洋での異種無人機の群制御は、世界的に見てもまだ事例が極めて少ない分野です。JISDAと共にこの最先端の研究に挑戦できることに、大変わくわくしております。本協業を通じて生み出す技術は、防衛・安全保障にとどまらず広く社会に還元し、日本の国益に貢献してまいります。」
各社について
JISDA株式会社
2025年11月に設立された、安全保障分野の高度な研究開発と技術統合を行う防衛スタートアップ企業です。国内外の現場情報から、新しい技術の種と防衛のニーズを合わせて追求しています。試作から量産までの技術基盤を持ち、現場の運用知識や国の制度設計・政策形成に関する理解も深いです。民間企業として、日本から次世代の安全保障の新しい基準を発信することを目指しています。
日本海洋重工業株式会社
「持続可能な無人防衛の実現」を目標に、無人水上艇(USV)や無人潜水機(UUV)、そしてそれらを協力させて動かす技術の研究開発を行うスタートアップです。海洋工学、電波・無線技術、複数の無人機を協調させる技術など、多様な分野の研究者と、元海上自衛隊員といった実運用を知るプロフェッショナルが集結し、防衛・安全保障から海洋インフラの監視、災害対応まで、幅広い社会課題の解決に向けた技術開発を進めています。

