ティアフォー、AIで動く自動運転レベル4の新しいソフトウェアを公開!日米欧で実証実験を開始

機械学習・深層学習

株式会社ティアフォーは、自動運転の技術を誰もが使えるようにすることを目指し、AI(人工知能)を活用した自動運転レベル4向けの新しいソフトウェアを公開しました。

このソフトウェアは、自動運転の「Autoware(オートウェア)」というオープンソースソフトウェア(誰でも自由に使えるソフトウェア)のシステムに追加され、さまざまなメーカーのシステム・オン・チップ(SoC)やセンサーの組み合わせに対応できます。

さらに、ティアフォーが提供する「MLOps(エムエルオープス)」という機械学習基盤を組み合わせることで、自動車メーカーは自分の車で集めた走行データを使って、AIモデルの性能を継続的に改善できるようになります。この技術の有効性を確かめるため、日本(東京)、アメリカ(ピッツバーグ)、ヨーロッパ(ミュンヘン)の3拠点で、大学などと連携して実際の走行テストが開始されました。

AIベース型自動運転レベル4を公開

「自動運転レベル4+」とデータ中心のAI技術

ティアフォーは、複雑な運転環境でも完全自動運転の範囲を少しずつ広げていく考え方として「自動運転レベル4+」を提案しています。これは、特定の条件下での自動運転レベル4から始めて、実際に車が走ることで得られるデータを活用し、AIモデルを継続的に改善して、使える場面を増やしていくというものです。

今回公開されたデータ中心のAI技術は、この「自動運転レベル4+」を実現するための大切な要素となります。

新しいソフトウェアスタックの仕組み

このAIベース型自動運転レベル4向けソフトウェアスタックは、2025年7月に発表されたE2Eアーキテクチャを基に、「Autoware」の機能をさらに進化させたものです。さまざまな走行環境に適応し、将来的な拡張性も考慮されており、特定のハードウェアに縛られず、SoCやセンサーの違いにも柔軟に対応できるよう、以下の2つのタイプからソフトウェア構成を選べます。これにより、自動車メーカーは、自社の設計や運用に合わせた自動運転システムを開発できるようになります。

  • 認識AIと経路生成AIを組み合わせたハイブリッド系:周りの状況が時間とともにどう変化するかをAIが予測し、別のAIが認識した結果と合わせて、人間のような運転判断や走行ルートを作り出します。

  • すべての運転行動をひとつのAIで行うエンドツーエンド(E2E)系:周りの環境や走行状況をまとめてAIが学習し、認識から運転判断、走行ルートの生成までをすべて一貫して行います。

データ中心なAIの適用範囲

このソフトウェアスタックは、「Autoware」のリポジトリを通じてGitHubで公開されています。

ティアフォーは、「Autoware」の公平な開発を管理するThe Autoware Foundationと協力し、大学や企業、開発コミュニティが一緒にオープンソースソフトウェアを改善していくことで、AIベース型自動運転レベル4を業界の標準として広め、最先端技術の導入を進めていきます。

機械学習基盤(MLOps)の活用

ティアフォーが提供するMLOpsでは、集めた走行データの品質をチェックしたり、映り込んだ人の顔などを匿名化したり、検索しやすいようにタグを付けたり、AIモデルの評価に基づいてデータに注釈を付けたりします。また、実際の走行データに加えて、さまざまな条件で作り出された仮想データを統合し、自動運転システムの機能性を評価できます。

これらの最先端技術の開発は、株式会社松尾研究所との協業をはじめ、多くのパートナーシップによって支えられています。今後は自動車メーカーとの協力で、大量の走行データとMLOpsの機能を活用し、AIモデルの性能を継続的に改善することで、実用性の高いAIベース型自動運転レベル4の実現を目指します。

日米欧での試験走行

自動運転レベル4におけるデータ中心のAIの有効性を検証するため、各地域の法律や安全基準に基づき、日本、米国、欧州の交通環境の異なる地域で、異なる車両、SoC、センサーの組み合わせを用いて、自動運転レベル4機能の試験走行が開始されます。それぞれの地域で、1回の走行時間は約60分を予定しており、安全のため担当者が同乗しますが、安全と判断される走行中の操作介入は想定されていません。

  • 東京:東京大学と連携し、トヨタ製「JPN TAXI」を使って、都心部の特定の場所間の移動におけるユーザー体験を検証します。

  • ピッツバーグ:カーネギーメロン大学と連携し、ヒョンデ製「IONIQ 5」を使って、ピッツバーグ国際空港と大学間の往復を含む市街地でのロボットタクシーの実証を行います。

  • ミュンヘン:ミュンヘン工科大学と連携し、フォルクスワーゲン製「T7 Multivan」を使って、大学周辺の市街地におけるさまざまな走行シナリオでの安全性評価を行います。

ティアフォーは、オープンソースを基盤とした国際的な協力体制を通じて、自動運転レベル4の社会での実現と、その持続的な発展を推進していく考えです。

コメント

ティアフォー 代表取締役 執行役員 CEO 加藤真平氏

「自動運転レベル4+の実現には、環境に合わせて自ら成長し続ける自動運転技術が必要です。今回公開したデータ中心の自動運転AIモデルと協力型の機械学習基盤は、そのための共通のスタート地点となります。オープンソースの『Autoware』とともに、学術機関、産業界、開発コミュニティと協力して技術開発に取り組むことで、技術が特定の組織に閉じこもることなく、社会に開かれ、継続的に発展していく環境を整えていきます。」

The Autoware Foundation Chairman of the Board of Directors Yang Zhang氏

「『Autoware』は、世界中の研究者、企業、開発者が協力して自動運転ソフトウェアを進化させるための基盤です。ティアフォーとともに進める今回の取り組みは、E2E系の自動運転を実際の車で検証し、継続的に改善できる国際的な協力体制を強化するものです。日米欧の3地域での走行実証を通じて、標準に基づいた技術発展と、多様なパートナーが参加できるオープンなエコシステムをさらに拡大していきます。」

東京大学 大学院工学系研究科 松尾豊教授

「今回公開されたソフトウェアスタックとMLOpsは、高度なAIモデルを産業で実際に使うための重要な一歩だと考えています。東京での実証を通じて、日本特有の交通環境におけるデータを集め、それを『Autoware』に活用することで、研究と社会での実用化の距離をさらに縮めることを目指します。」

カーネギーメロン大学 ジョージ・ウェスティングハウス記念教授 Raj Rajkumar氏

「『Autoware』は、『自動運転レベル4+』の考え方を作る重要な技術です。ピッツバーグでの実証では、都市部特有の交通状況の中で、この技術がどれだけ有効かを検証していきます。学術機関と産業界が連携し、『Autoware』を通じて成果を共有することは、グローバルな自動運転技術の発展にとって非常に重要です。」

ミュンヘン工科大学 Professor of Autonomous Vehicle Systems Johannes Betz氏

「今回の取り組みは、自動運転レベル4水準の技術をヨーロッパの都市環境で評価し、その有効性をさまざまな角度から検証する貴重な機会となります。『Autoware』を基盤とした連携のもと、地域固有のデータセットを活用しながらAIモデルを改善していく仕組みは、実用性の高い自動運転技術の向上に貢献するものと期待しています。」

ティアフォーについて

株式会社ティアフォーは、「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導するディープテック企業です。自社製品として「Autoware」を活用したソフトウェアプラットフォームを提供し、それらを基盤に市場ニーズに応じた自動運転における各種サービスを展開しています。ティアフォーは、「Autoware」が生み出すエコシステムを通じて、世界中のパートナーと連携しながら自動運転の可能性を広げ、より安全で持続可能な社会の実現を目指しています。

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