フューチャー株式会社のStrategic AI Groupに所属するリサーチエンジニア、藤井諒氏が中心となって執筆した論文が、自然言語処理分野の主要国際会議「EACL2026」のメインカンファレンスに採択されました。
EACL(European Chapter of the Association for Computational Linguistics)は、AIが人間の言葉を理解したり作り出したりする技術、つまり「自然言語処理」に関する世界最大の学会ACLのヨーロッパ支部が主催する、非常に重要なカンファレンスです。2026年3月24日から29日にかけてモロッコ・ラバトで開催されるEACL2026で、今回の採択論文について発表が行われます。
採択された論文について
採択された論文のタイトルは「TimeMachine-bench: A Benchmark for Evaluating Model Capabilities in Repository-Level Migration Tasks」です。

この研究は、実際のPythonプロジェクトで使われているプログラムを新しい環境に適応させる「ソフトウェアマイグレーション」という作業の難しさを評価するための「TimeMachine-bench」という新しい評価基準(ベンチマーク)を提案しています。ソフトウェア開発では、使っている部品(依存ライブラリ)が新しくなったときに、それに合わせて自分のプログラムも手直しする必要があります。この作業は「マイグレーション」と呼ばれ、開発者にとって大きな負担となります。
これまで、ChatGPTのような「大規模言語モデル(LLM)」と呼ばれるAIが、このマイグレーション作業をどれだけ上手にできるかをきちんと評価する仕組みは、あまり研究されていませんでした。これまでの研究では、一部の限られたライブラリだけを対象としていましたが、今回の研究では、過去のプログラム環境を正確に再現する新しい方法を考案しました。これにより、時間が経つにつれて動かなくなるプログラムを自動で見つけ出し、1,145件ものテストデータからなる「TimeMachine-bench」を構築しました。
実験の結果、簡単なマイグレーション作業であればAIで自動化できる可能性が見えてきました。しかし、AIが余計な修正をしてしまったり、テストの隙間をすり抜けたりするといった、LLMの信頼性に関する課題も明らかになりました。
フューチャーのAI研究と人材育成
フューチャー株式会社 Strategic AI Group リサーチエンジニアの藤井諒氏は、今回の論文採択について「自然言語処理分野の主要国際会議であるEACLに採択されたことを光栄に思います。本研究は国立大学法人東北大学との共同研究の成果であり、多大なるご支援をいただきました共著者の皆様、およびご協力いただいた方々に深く感謝申し上げます。引き続き、産学の連携を深め、本分野における研究の発展とその社会還元に貢献してまいります」と述べています。
フューチャーでは、AIに特化した専門組織「Strategic AI Group」を中心に、研究開発を行うエンジニア(リサーチエンジニア)やAIを実用化するエンジニア(AIエンジニア)の育成と採用に力を入れています。これにより、自然言語処理やChatGPTのような「生成AI」に関する研究開発を進めています。
具体的な取り組みとして、2024年には国内の生成AI開発力を高めるプロジェクト「GENIAC」の支援を受け、「日本語とソフトウェア開発に特化した基盤モデル」を一般公開しました。さらに、2025年からは社員が働きながら博士号を取得できるよう支援する「Future PhD Support Program」という制度を導入し、AIをはじめとする最先端技術を持つ人材の育成を加速させています。
フューチャーは、このような研究開発だけでなく、AIをお客様のビジネスに役立てる「AI社会実装ナンバーワンカンパニー」を目指し、お客様の経営やビジネスに貢献するAIの導入も積極的に進めています。今後も最先端の研究と科学的なコンサルティングを通じて、お客様の業務とITをトータルにデザインし、新しい価値を創造していくとのことです。

