pipon、医療現場の「非構造化データ」をAIで自動整理する新技術を提供開始

ビジネス活用

医療現場の「読みにくいデータ」をAIが自動で整理

医療の現場には、患者さんのカルテや診察の会話、看護記録など、たくさんの情報があります。これらの情報は、文字や音声で記録されていることが多く、そのままではコンピューターで分析しにくい「非構造化データ」と呼ばれています。株式会社piponは、この「非構造化データ」をAI(人工知能)が自動的に整理し、研究や病院の経営分析に役立つ「構造化データ」に変換する新しい技術「医療機関向けAI構造化エンジン」の提供を開始しました。

医療機関向けAI構造化エンジン 提供開始

医師やIT部門の負担を軽減

これまでの多くの病院では、医師が研究や論文のために、IT部門に依頼してカルテの自由な記載内容や看護記録などを一つ一つ手作業で「構造化データ」に変換していました。この作業は時間がかかるだけでなく、間違いが起こりやすいという課題がありました。piponの新しいAI構造化エンジンは、この手間のかかる作業をAIが自動でこなすことで、医師やIT部門の負担を大きく減らします。

音声もテキストも、AIが一気にデータ化

このエンジンは、AIカルテ作成サービス「ボイスチャート」で培われた音声処理技術を基に作られています。そのため、診察の会話のような「音声」のデータも、カルテの記載のような「テキスト」のデータも、両方をまとめて構造化できます。

具体的には、AIが以下の4つのステップでデータを整理します。

  1. テキスト・音声の内容を理解: 診察の内容、病名、検査、処置、薬、患者さんの訴え、経過説明などを文脈から読み解きます。
  2. 医療データ項目へ自動で割り振り: 患者さんの基本情報、病名、薬の使用状況、検査結果、処置の記録など、適切な項目に自動でデータを割り振ります。
  3. 研究に使えるデータ形式に変換: 医療研究でよく使われるRWD(リアルワールドデータ)やOMOP CDMのようなデータ形式に合わせて、データを整理します。この形式は病院の運用に合わせて調整することも可能です。
  4. 出典の追跡: どの会話やテキストから情報が抽出されたかを記録することで、構造化されたデータの信頼性を高めます。

幅広い活用シーン

この技術は、様々な場面で役立ちます。

  • 研究・論文作成: カルテの自由な記載を自動でデータ化し、研究にそのまま使えるデータとして活用できます。

  • DPC・経営分析: 検査、処置、投薬などのテキスト情報から、病院の経営状況を測る指標を自動で作り出すことができます。

  • 院内のデータ統合: 部署や職種によって異なる記録の形式を統一し、病院全体のデータを一元的に管理しやすくなります。

  • AIの精度向上: 構造化されたデータの出典がわかるため、病院内で使うAIの改善にも役立てられます。

病院が「研究しやすい組織」へ

piponが目指すのは、「研究を支援するためのIT作業をゼロにすること」です。医師が日々の診療で生み出す「非構造化データ」を、AIが自動で研究に使えるデータに変換することで、IT部門の手を借りずに研究を進められるようになります。

株式会社piponの代表取締役である北爪聖也氏は、次のようにコメントしています。「医療現場には膨大な非構造化データがあり、これを構造化する作業が大きな負担でした。今回のエンジンにより、診療現場で自然に生まれるデータが、研究や経営改善、品質向上の材料として活用される未来を、医療機関と共に実現していきます。」

この新しいAI構造化エンジンにより、医療現場でのデータ活用が大きく進み、より効率的な研究や経営分析が可能になることが期待されます。

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