タカラベルモント株式会社が、2025年11月1日から2日に開催された「第30回日本顔学会大会(フォーラム顔学2025)」において、二つの口頭発表で「オーディエンス賞」と「阿部賞」をダブル受賞しました。同社がこの大会で受賞するのは初めてのことで、今回は過去最多となる計3題の発表を行いました。

ECILAフィールドテストから見えた顔学的知見
「ECILAフィールドテストから見えた顔学的知見-顔パーツ特徴量のデータ拡充と詳細分析-」と題された発表がオーディエンス賞を受賞しました。この研究では、同社のサロン向けスマートデバイスミラー「ECILA」の顔診断機能で集められた、10歳から79歳までの女性6501名分の顔データを分析しました。
ECILAは、最先端のAIを使って顔の68箇所の特徴点を捉え、顔の印象を判定し、似合うヘアスタイルを提案するデバイスです。2023年10月の発売以来、全国で1万9千回以上の顔診断が行われています。
この研究で明らかになったのは、年齢が上がるにつれて顔の印象が「子供的な曲線」から「大人的な直線」へと変化していく傾向が、データで裏付けられたことです。具体的には、唇の厚さ、目の角度、顎の形、顔パーツの縦横比など16項目の顔パーツの特徴を年代別に詳しく調べた結果、年齢を重ねるごとに唇が薄くなり、目が垂れ目になり、顎が丸く、顔のパーツ配置が縦長になる(中顔面が長くなる)傾向が分かりました。また、年齢が上がるほど顔の個人差が大きくなることも示唆されています。


相同モデル化技術を用いた笑顔と加齢変化の解析
「相同モデル化技術を用いた顔貌の加齢変化の男女特徴解析と魅力的な笑顔の評価検討」と題された発表は、阿部賞を受賞しました。この研究では、「相同モデル化技術」という、複雑な顔の形を標準化して比較しやすくする技術を使って、笑顔や加齢による顔の変化を詳しく分析しました。
具体的には、「愛想笑い」「癒しを感じたときの笑い」「爆笑」という3種類の笑顔について、表情筋の動きを視覚的に分かりやすく表現し、それぞれの動きを数値で比較できるようになりました。その結果、これら3種類の笑顔では、表情筋の使い分けによって顔全体の形状変化や口元近傍の変化、頬の引き上がり方などが異なることが判明しました。
また、この技術を用いて、20代から60代までの真顔の加齢変化を男女別に解析したところ、輪郭が崩れる部分や顔が間延びする部分に男女差があることや、男性では30代を境に顔の特徴の傾向が変わる可能性があることが示されました。この研究は、これまで数値化や比較が難しかった顔の複雑な形状を、詳細に分析することを可能にしました。

パーソナライズヘアスタイル推薦手法の提案
ポスター発表では、「好みの組み合わせ傾向に基づくパーソナライズヘアスタイル推薦手法の提案」が行われました。この研究では、髪の長さ、前髪、髪型全体の形、ボリューム、髪色、髪の印象、見た目年齢・性別といった、ヘアスタイルを選ぶ際に大切にされる要素をAIに学習させ、一人ひとりの好みに合ったヘアスタイルを提案する精度を高めることに成功しました。
この独自開発のAIを使って、利用者が特に重視するヘアスタイルの要素を推定し、それに基づいてヘアスタイルを推薦すると、女性では好みに合ったスタイルを推薦する精度がさらに向上しました。しかし、男性では精度が低下するという結果も出ており、男性の好みをより正確に反映させるためには、「サイドの刈り上げ量」や「トップの立ち上がり」といった、男性ならではの要素をAIに学習させる必要があると考えられています。


日本顔学会大会と表彰について
日本顔学会は1995年に発足し、歯学、工学、美容、心理学、医学など、さまざまな分野の研究者が顔に関する研究の発展と普及を目指して活動しています。年に一度開催される大会では、美容だけでなく医療や印象評価など、顔に関する幅広い研究成果が発表されます。
「オーディエンス賞」は、参加者の投票によって、顔学に大きな影響を与えた研究が選ばれます。「阿部賞」は、顔学の発展に貢献する可能性が高い、新しい発想や構想を持つ研究に贈られる賞です。
タカラベルモント株式会社は、これらの研究成果を美容アドバイスやエステ、化粧品分野への応用を目指しており、今後も「美しい人生を、かなえよう。」というパーパスのもと、美と健康のプロフェッショナルと共に進化を続けていくとしています。
タカラベルモント株式会社のウェブサイトはこちら:
https://www.takarabelmont.com/

