株式会社ジェイテクトのグループ会社である株式会社ジェイテクトサーモシステムは、AI(人工知能)や5G通信といった最新技術の進化に欠かせない「先端半導体パッケージ」を作るための新しい熱処理装置「SO2-60-F」を発売しました。
AIや5Gを支える半導体製造の新しい力

AIや5G通信が私たちの生活に広がるにつれて、これらの技術を動かす半導体には、より高い性能が求められています。その性能を引き出すために、「RDL(再配線層)インターポーザー」や「ガラスインターポーザー」と呼ばれる特別な部品が使われます。これらは、たくさんの半導体を効率よくつなぎ、全体としての性能を向上させる役割を持っています。
今回登場した「SO2-60-F」は、これらの重要な部品を製造する過程で必要となる「熱処理」を、より正確に行うための装置です。ジェイテクトサーモシステムはこれまでも、半導体を大量に生産するための熱処理装置を多くのメーカーに提供してきた実績があります。
ジェイテクトグループが目指す未来

ジェイテクトグループは、「技術をつなぎ、地球と働くすべての人を笑顔にする」という大きな目標を掲げています。そして、2030年までに「モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダー」になることを目指しています。この目標達成のために、既存の製品をさらに良くすることと、新しい分野に挑戦することの両方で成長と変化を進めています。
半導体産業においても、ジェイテクトグループは多くの強み(コンピタンス)を活かし、さまざまな解決策(ソリューション)を提供しています。ジェイテクトサーモシステムも、その得意な熱処理技術を活かして、先端半導体の製造を支える装置を開発しました。
開発の背景と「SO2-60-F」の特長
ジェイテクトサーモシステムは、1958年に設立され、もともとベアリング(軸受)の熱処理装置を製造・販売していました。その後、1968年には半導体部門を立ち上げ、早い時期から半導体産業に貢献してきました。
特に、液晶ディスプレイ(LCD)に使われるような大きな基板を熱処理したり、運んだりする技術は、長年の経験で培われてきました。この技術を活かして、AIや5G通信でこれからもっと必要になるRDLインターポーザーやガラスインターポーザーなど、大型基板向けの熱処理装置の開発を進めてきたのです。
「SO2-60-F」は、これまでの製品が持っていた、装置の中の空気が漏れにくい構造を受け継いでいます。そのため、酸素が少ない環境でも均一に熱が伝わり、非常に高い精度で熱処理を行うことができます。また、大きな基板でも安定して運ぶことができるのが大きな特長です。対応できる基板のサイズは、□510×515mmや□600×600mmなどです。
今後の展開
ジェイテクトサーモシステムは、モビリティ社会の進化を支えるAIや5G通信を手がける半導体メーカーに向けて、「SO2-60-F」の提案と納品を進めていきます。また、Φ300㎜や□310㎜といったサイズの装置の販売も引き続き強化していく予定です。
ジェイテクトグループ全体としても、それぞれの会社が持つモノづくりや設備に関する強みを結びつけることで、半導体産業に貢献する解決策を提案し、未来のモビリティ社会を創造していくとしています。

