氏家物産が生成AI時代の「クリエイティブガバナンス指針」を策定
氏家物産株式会社は、生成AIの活用が広がる現代において、ブランドの価値や倫理観を守りながら、創造性を最大限に引き出すための「クリエイティブガバナンス指針」を新たに作りました。
AIがとても速くたくさんのものを作り出せるようになった今でも、「何が良いのか」「創造性をどの方向に導くのか」といった判断は、私たち人間が担う大切な役割です。
この指針は、AI時代のコミュニケーションに欠かせない「価値基準」「ガバナンス(管理・統制)」「文脈理解」という3つの考え方を整理しています。そして、ブランド作り、映像制作、まだ存在しない場所や体験のデザインといった、氏家物産のあらゆるクリエイティブな活動に活用されます。
また、今回の発表に合わせて、編集長兼アートディレクターの大津祐子氏に、AI時代の創造性、物事を判断する知性、そしてクリエイターが様々な役割をこなす「マルチプレイヤー化」について話を聞きました。

生成AIは「クリエイター」か?
生成AIは、それ自体が「クリエイター」というわけではありませんが、創造的なプロセスを大きく広げる存在です。AIは無限の可能性を示してくれますが、その「判断」は、あくまで統計的にもっともらしい一般的な答えにすぎません。
大量のアウトプットが均一化していく中で、美しさや意味、直感的な感動、社会の状況を理解した上での本質的な判断は、依然として人間の領域に残されています。経験の中で培われてきた「直感」や「美的センス」も重要です。
大切なのは、AIか人間かという単純な対立ではなく、ディレクション(方向付け)によって「何を選び、どう意味づけるか」という創造の方向性です。
大津氏は次のように語っています。
「AIは可能性そのものを広げてくれる存在です。しかし、作品の意味や文脈を決めるのは人間です。例えば、同じ景色を見ても『なんかエモいね』とか『綺麗だね』など、感じ方は人によって全く違います。日本人ならではの情緒や、個人の経験が積み重なって生まれる感覚の細かい部分は、まだAIが真似できる領域ではないと考えています。」
この考え方を体現するように、大津氏自身も、映像制作、編集、書籍デザイン、アーティストグッズ制作、生成AIを使った世界観構築まで、幅広い分野で活躍する「マルチプレイヤー型クリエイター」として活動しています。AIを使わない「手作業」の感性と、生成AIのスピードを組み合わせながら、「判断の知性」を軸にしたディレクションを行っています。

なぜ「クリエイティブガバナンス指針」が必要なのか
生成AIが普及したことで、制作現場には次のような課題が生まれています。
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「良い」とする価値基準があいまいになる
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文化や歴史的な背景への配慮が不足する
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無意識の偏見による炎上リスク
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大量に作りすぎることによるアウトプットの均一化
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制作の方向性を見失う
氏家物産はこれらの課題に対して、AIの可能性と人間の判断を共存させるための仕組みを整えました。特に、まだ存在しない場所や体験の姿をデザインする「未来の可視化」においては、AIと人間の役割の線引きがこれまで以上に重要なテーマとなっています。
その実践例の一つが、氏家物産が手掛けた未来空間の可視化です。まだ存在しない場所の風景を、生成AIによる画像生成と映像編集によって作り出し、まだ形になっていない空間の世界観を具体的に見せる試みです。
今回、氏家物産が手掛けた建設中のスケートパークを描く映像も、「存在しない場所をどう見せるか」という実践の一つです。
大津氏は次のように語ります。
「存在しない場所を作るときこそ、AIが提示してくれる架空のイメージが本当に役立ちます。ただ、どの景色を採用し、どんな物語として作り上げるかは人間の判断です。空間の雰囲気やそこに流れる空気のようなものは、人が感じ取るしかない部分だと思っています。」
「映像は、その判断がもっともはっきりと現れます。AIの創造性を借りながら、関係する方々の希望を読み取り、それでも最後は自分たちの感覚で『この未来がいい』と決める。この一連のプロセスこそが、AI時代のクリエイションだと感じています。」
クリエイティブガバナンス指針の三つの軸
氏家物産が策定した「クリエイティブガバナンス指針」は、AIを使うかどうかにかかわらず、今後AI以上の新しい技術が出てきても、すべての制作プロセスを導く土台となる、人間哲学に基づいた考え方です。
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価値基準(Value Framework)
ブランドが大切にすべき「美学」と「判断基準」を共有し、クリエイティブがどの方向へ進むべきかをはっきりとさせます。 -
ガバナンス(Governance)
文化、歴史、社会的な影響、時代の背景、今の生活者の選択を踏まえたチェック体制を整え、無意識の偏見や不適切な生成を防ぐ仕組みを作ります。 -
文脈理解(Context Literacy)
背景にある文化、場所、人々の物語を深く読み解き、「なぜそうあるべきか」を判断できるクリエイション体制を築きます。
これら3つの考え方を、ブランド開発から映像制作、空間デザイン、未来の可視化まで、氏家物産のすべてのクリエイションに適用していきます。
「どれほど技術が進歩しても、人が目で見て手で触れてから脳へ伝わるその経路で『ドキドキ』したり『ワクワク』したりする『感覚動線』があります。その動線はきっと、生物として光を感じたり、背中をさすってもらうと落ち着いたりといった、感覚的なものを言葉にしたり、見える形にしたりすることに、人の能力はもっと自由に耳を傾けていいと思うんです。AIに任せられることは任せればいい。コミュニケーションの領域が広がれば、どんな制作であってもAIは必ずワクワクを返してくれる。私たちがこの三原則をしっかり持てば、AIからの答えを何倍速もの速さでもらえるわけですから。」
大津氏はさらに続けます。
「AIが進化しても、『どこへ向かうか』を決めるのは人間です。ただ速く作るためではなく、『何を作るべきか』を見極めるためのガイドが今の時代には必要だと感じています。」

AI時代のクリエイターに求められる「マルチプレイヤー化」
AIの普及は、クリエイターの役割にも変化をもたらしています。一つの分野にとどまらず、映像、デザイン、編集などを行き来しながら、複数の視点から意味を作り出す「マルチプレイヤー型クリエイター」の重要性が増しています。
大津氏が実践しているような、手作業の感性(アナログ)とAIのスピード(デジタル)を使いこなすことは、AI時代の創造における新しいスタンダードになりつつあります。
「複数の分野を行き来することで、『ものの見え方』に深みが生まれます。その深みが、AIでは判断しきれない部分を支えてくれます。だからこそ私は、手作業の感性とAIのスピードの両方を扱えるようにしておきたいと考えています。」
「たくさんの『専門』を提示できるAIというプロフェッショナルたちを、マルチプレイヤーとして判断し、方向づけていくことで、専門的な情報を一つの方向へ導くことができます。それが、今この世界で求められるクリエイターの姿なのだと思います。」
「『編集』の概念は、一つに組み立てて(編)、多くのものが寄り合うこと(集)。これは今の私たちの体制とも言えます。ガバナンスの三原則は、AIとの向き合い方だけでなく、編集長として新しいものを生み出す役割を果たすための『エンジンの取扱説明書』にもなるんです。」と大津氏は語っています。

今後の展望
氏家物産は今後も、「クリエイティブガバナンス指針」に基づいて、生成AIと人間の判断が共に存在する新しい制作体制を築いていきます。
創造性は、判断を積み重ねることから生まれます。AIが加わる時代になっても、その本質は変わりません。氏家物産は、未来の風景やブランドの価値が生まれる「出発点」を作り続けていきます。
まだ存在しない場所にも、これから生まれる事業や体験にも、意味を与えるのは人の知性と感性です。どんな時代でも、人とAIが協力できる環境を育み、未来のクリエイションを導くための方法を探求していきます。
氏家物産は、ブランドの未来をデザインし続けるクリエイティブカンパニーです。

氏家物産株式会社について
氏家物産株式会社(UJIIE BUSSAN CO.LTD.)は、ブランディング全般、コミュニケーション施策の企画および実施を行っています。
代表取締役社長:氏家 聡史
本社:〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-7-1 オーシャンゲートみなとみらい8F
TEL : 0467-40-4697
MAIL:info@ujiie.co

