マクニカと奥村組が協力!斜面崩壊を防ぎながら電気を作る「遮水シート一体型ペロブスカイト太陽電池」の実証試験を開始
株式会社マクニカと株式会社奥村組は、「遮水シート一体型ペロブスカイト太陽電池」を使った実証試験を始めたことを発表しました。この新しい技術は、道路の脇などの使われていなかった広い斜面(法面や盛土)を、再生可能エネルギーを生み出す場所として活用しながら、同時に雨水による斜面崩壊を防ぐという、まさに一石二鳥の解決策を目指しています。
なぜこの技術が必要なのか?
2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標達成に向けて、太陽光発電のような再生可能エネルギーの導入を増やすことがとても大切です。しかし、太陽光発電に適した場所は限られているという課題があります。また、日本は山が多い地形のため、最近の激しい雨や地震によって、斜面が崩れる災害が頻繁に起こっています。これらの災害の主な原因は、雨水が地面にしみ込むことで地盤が弱くなることです。こうした災害対策は行われているものの、広大な斜面は、これまで有効に活用されていませんでした。
「遮水シート一体型ペロブスカイト太陽電池」とは?
マクニカと奥村組は、軽くて薄く、そして柔軟に曲がるフィルム状の「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」という新しいタイプの太陽電池の特長を最大限に活かしました。このPSCを雨水を通さない「遮水シート」と一体化させることで、発電する機能と、雨水の浸透を抑えて斜面崩壊を防ぐ防災機能を両立させたのです。
柔軟なフィルム状のPSCは、傾斜している場所やカーブしている場所にも簡単に設置できるというメリットがあります。さらに、遮水シートと一体化することで、斜面の災害対策と発電を同時に行えるため、今まで活用されていなかった道路の斜面などを有効に使い、再生可能エネルギーの供給地に変える大きな可能性を秘めています。
実証試験の概要
この実証試験は、奥村組技術研究所内に作られた模擬の盛土斜面で行われます。ここでは、遮水シートと一体化したPSCを設置し、以下の項目について詳しく検証します。

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発電性能
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発電効率: 実際に設置された環境で、PSCがどれくらいの電気を生み出せるか。
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ロバスト性(安定供給性): 日差しや雨などの天候の変化があっても、安定して電気を供給できるか。
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耐久性
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PSC一体化構造の耐久性: 長く使い続けたり、暑さ、湿気、風雨などの外部環境にさらされたりしても、劣化せずに耐えられるか。
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PSC保護機能: 遮水シートと一体になっていることで、PSCの内部に水分がしみ込むのをどれだけ防げるか。
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マクニカの環境ソリューション事業
マクニカは、半導体の提供だけでなく、世界中の最先端技術を使って、さまざまなパートナー企業と一緒に環境問題の解決に取り組んでいます。特に「サーキュラーエコノミー事業」では、「エネルギーマネジメント」「省エネマネジメント」「資源循環マネジメント」「環境ライフマネジメント」という4つの分野で事業を展開しています。
お客様の環境問題の解決をサポートすることで、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らし、脱炭素社会の実現に貢献し、将来の持続可能な社会(Sustainable Society)を作ることを目指しています。
マクニカのサーキュラーエコノミー事業について詳しくはこちら:
株式会社マクニカについて:
マクニカは、半導体やサイバーセキュリティを主な事業とし、最新のテクノロジーを総合的に提供するサービス・ソリューションカンパニーです。世界28の国や地域に91の拠点を持ち、50年以上の歴史で培った技術力とグローバルなネットワークを活かして、AIやIoT、自動運転などの最先端技術の発掘、提案、そして実際の導入までを手掛けています。

