テックタッチと東京科学大学、業務システム操作を代行する次世代AIエージェントの共同研究を開始──“RPA2.0”の実現へ

ビジネス活用

テックタッチ株式会社は、東京科学大学船越研究室と協力し、業務システム上の操作を人の代わりに実行できる「次世代AIエージェント」の共同研究を始めました。

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この研究の大きな目標は、人とAIが協力しながら仕事を進める「協調的Webエージェント」という新しい仕組みを作り出すことです。これにより、まるで人間のように状況を判断し、複雑な業務もこなせる「RPA2.0」(自律型AIエージェント)の実現を目指します。

共同研究の背景と目的

最近では、多くの会社で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進み、業務を効率化するための自動化技術に大きな期待が寄せられています。これまでの自動化の中心は「RPA(Robotic Process Automation)」という技術でしたが、これは主に決まった繰り返し作業を得意とし、状況に合わせて判断が必要な複雑な業務には対応が難しいという課題がありました。

近年、ChatGPTのような「大規模言語モデル(LLM)」が登場したことで、複雑な業務もAIが自動で行う「RPA2.0」への道が開かれつつあります。しかし、現在のLLMを使った方法には、いくつかの課題があります。

  • セキュリティのリスク: お客様の情報や会社の機密情報を、外部のAIサービスに送ることへの不安があります。

  • コストと性能: AIサービスの利用料金や通信の遅れが、会社全体で導入する際のハードルになることがあります。

  • 業務への不適合: 汎用的なAIモデルでは、会社特有の専門用語や複雑な業務の流れにうまく対応できず、あと一歩のところで自動化が難しい「ラストワンマイル問題」が起こることがあります。

これらの課題を解決するため、今回の共同研究では、人とAIが協力して仕事を進める「協調的Webエージェント」を開発します。東京科学大学の最先端のAI学習技術と、テックタッチがこれまで集めてきた業務データを組み合わせることで、複雑な業務にも対応できる、自分で考えて動くAIエージェントの実現を目指します。

共同研究の詳しい内容

今回の共同研究では、大規模言語モデル(LLM)の限界を乗り越えるため、比較的小さくて効率的な「小型言語モデル(SLM)」を使う方法を採用します。テックタッチ独自の「マルチモーダルデータ」(テキスト、HTML、画面など複数の情報を組み合わせたデータ)を使って、特定の業務に特化したAIの学習方法を開発します。これにより、会社のセキュリティルールを守りながら、社内のネットワーク環境でも高精度に動く、軽いAIエージェントの実現を目指します。

この研究の大きな特徴は、人とAIが協力しながら作業を進める「協調的Webエージェント」を実際に作ることです。これにより、従来のRPAでは難しかった、状況を判断する必要がある複雑な業務にも対応できるようになり、本当に役立つ「RPA2.0」が実現します。

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東京科学大学船越研究室の強み

船越研究室は、自然言語処理(AIが言葉を理解する技術)や人とAIの関わり方を専門としており、特に人とAIが協力して対話したり、複数の情報(マルチモーダル情報)を処理する分野で高く評価されています。大規模言語モデルに頼らない効率的な学習技術や、人間の意図を理解する対話の設計に強みがあり、今回の研究で「協調的Webエージェント」を作り上げる中心的な役割を担います。

研究の期間と内容(予定)

項目 内容
期間 2026年3月31日まで(予定)
実施内容 1. マルチモーダル・データセットの構築:テックタッチの製品から得られる操作データなどを使い、AI学習用のデータを作成。
2. ドメイン特化型ファインチューニングの実施:オープンソースの小型言語モデルを基盤に、特定の業務に特化した追加学習を行い、軽量で高精度なモデルを開発。
3. 評価と改善:国際的な評価基準や実際の業務シナリオで検証し、精度と使いやすさを高める。
共同研究における役割 テックタッチ:独自データの準備、業務の流れに関する知識の提供、学習方法の設計、モデルの評価。
東京科学大学船越研究室:最先端のモデル学習技術、人とAIの協調対話・マルチモーダル情報処理に関する専門知識の提供。

期待される効果

この共同研究によって、社会全体に次のような良い影響が期待されます。

  • 企業のDX推進と生産性向上: これまで自動化が難しかった、会社の重要なシステムや機密性の高い業務も自動化できるようになります。これにより、従業員はより価値の高い仕事に集中できるようになり、会社全体の生産性が向上します。

  • AI導入のハードル低下: 特定の大企業だけでなく、中小企業や公共機関でもAIの活用が広がり、より多くの組織がAIの恩恵を受けられるようになります。

  • 新しいDAP市場の創出: これまでの操作を案内するだけのDAP(デジタルアダプションプラットフォーム)から、AIが操作を代行する形へと進化することで、ソフトウェアの使い方の概念が変わり、人とシステムの関わり方が新しくなります。

この取り組みは、単に業務を効率化するだけでなく、社会全体でAIのメリットを安全に、そして少ない費用で使えるようにする「AIの民主化」を進める土台となるものです。

今後の展開

今回の共同研究で得られた成果は、次世代のデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の重要な技術として、少しずつ製品に組み込まれていく予定です。まずは特定の業務に絞って、実証実験(PoC)を進め、2026年中の製品化を目指します。

将来的には、この研究で確立したAIの学習方法を汎用化し、それぞれの会社に合わせた専用のAIエージェントを簡単に作れるプラットフォームへと発展させることも考えています。

東京科学大学船越研究室との協力のもと、人とAIが協力して働く未来のスタンダードを作り、日本発の新しいAI活用モデルを世界に発信していきます。

東京科学大学船越研究室について

船越研究室は、AIが言葉を理解し活用する研究や、人とAIがよりスムーズにコミュニケーションし協力できるシステム開発を行っています。

代表:東京科学大学総合研究院未来産業技術研究所 准教授 船越 孝太郎
東京科学大学船越研究室について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.lr.first.iir.isct.ac.jp/wp/

AI型デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「テックタッチ」について

「テックタッチ」は、特別なプログラミングなしで(ノーコードで)、業務システムの画面に操作ガイドなどを表示できるサービスです。これにより、従業員のシステムへの入力ミスや操作間違いをなくし、DXの実現を助け、生産性向上や業務効率化をサポートします。最近では、Web上でAIを簡単に使える「AI Hub」という機能も発表するなど、AI機能の開発を強化しています。

テックタッチのナビゲーション例

【テックタッチ株式会社 会社概要】
会社名 :テックタッチ株式会社
設立 :2018年3月1日
代表取締役 CEO:井無田 仲
所在地 :〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目17-1 PMO銀座Ⅱ 5F
事業内容 :デジタルアダプションプラットフォーム「テックタッチ」およびデータ戦略AIエージェント「AI Central Voice」の開発・提供
URL :https://techtouch.jp/
メディアURL:https://techtouch.jp/media/

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